所得税法(昭和五六年法律第一一号による改正前のもの)二条一項三四号及びこれが引用する限りでの同項三三号は、憲法一四条一項に違反しない。
所得税法(昭和五六年法律第一一号による改正前のもの)二条一項三四号及びこれが引用する限りでの同項三三号と憲法一四条一項
所得税法(昭和56年法律第11号による改正前のもの)2条1項33号,所得税法(昭和56年法律第11号による改正前のもの)2条1項34号,憲法14条1項
判旨
サラリーマンの給与所得と事業所得等の課税格差を巡る所得税法の規定は、憲法14条1項および25条に違反しない。
問題の所在(論点)
昭和56年法律第11号による改正前の所得税法2条1項34号および33号の規定が、サラリーマンと事業所得者等の税負担に格差を生じさせている点において、憲法14条1項および25条に違反するか。
規範
租税法の分野における立法的裁量は広く、課税要件の定めが合理的な根拠に基づき、著しく不当でない限り、憲法14条1項に違反しない。また、憲法25条の規定は、具体的権利を付与するものではなく、立法府の広範な裁量に委ねられており、当該規定の適用により直ちに健康で文化的な最低限度の生活が脅かされない限り、同条に違反しない。
重要事実
上告人(サラリーマン)が、所得税法において給与所得者と事業所得者等との間で必要経費の控除等の取扱いに差異があることは、平等原則(憲法14条1項)および生存権(憲法25条)に反すると主張して争った事案。
事件番号: 平成4(行ツ)127 / 裁判年月日: 平成5年2月18日 / 結論: 棄却
個人の国又は地方公共団体に対する寄付金に関する所得控除について限度額を設けている所得税法七八条一項、二項一号の規定は、法人税法三七条三項一号が法人に関する同様の寄付金についてその全額の損金算入を認めているからといって、憲法一四条一項、八四条に違反するものではない。
あてはめ
憲法14条1項については、先行する大法廷判決(サラリーマン税金訴訟判決)の趣旨に照らし、所得税法の規定が合理性を欠くものではないと判断される。憲法25条については、本件所得税法の規定を上告人に適用することによって、直ちに上告人の健康で文化的な最低限度の生活が脅かされるとは認められない。したがって、生存権を侵害する前提を欠いている。
結論
本件所得税法の規定は、憲法14条1項および25条に違反しない。
実務上の射程
租税法上の区別や負担の不均衡が憲法に違反するかどうかが問われる事案において、広範な立法裁量を認めるサラリーマン税金訴訟の規範を確認し、生存権侵害の主張に対しても「具体的な生活困窮」の存否という高いハードルを課す文脈で使用する。
事件番号: 昭和55(行ツ)15 / 裁判年月日: 昭和60年3月27日 / 結論: 棄却
一 租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は、その立法目的が正当なものであり、かつ、当該立法において具体的に採用された区別の態様が右目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り、憲法一四条一項に違反するものということはできない。 二 給与所得の金額の計算につき必要経費の実額控除を認めな…
事件番号: 平成21(行ヒ)199 / 裁判年月日: 平成21年12月4日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(平成14年法律第79号による改正前のもの)40条の4第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反しない。
事件番号: 平成16(行ツ)23 / 裁判年月日: 平成16年11月2日 / 結論: 棄却
1 所得税法56条は,居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合であっても,その居住者の営む事業に従事したことなどの同条所定の要件が満たされる限り,適用される。 2 配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合にその居住者の事業所得等の金額の計算に所得税法56条を適用してされた課税処分は,憲…