自動車損害賠償保障法一〇条にいう「道路…以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」であっても、その本来の用途から外れて道路上を走行中に事故が発生して、自動車損害賠償責任保険の被保険者以外の者の同法三条の規定による損害賠償責任が生ずる場合には、右事故につき政府の自動車損害賠償保障事業の適用がある。
自動車損害賠償保障法一〇条にいう「道路…以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」が道路上を走行中に事故が発生した場合と政府の自動車損害賠償保障事業の適用の有無
自動車損害賠償保障法3条,自動車損害賠償保障法10条,自動車損害賠償保障法71条,自動車損害賠償保障法72条
判旨
道路以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車であっても、本来の用途から外れて道路上を走行中に事故が発生し、運行供用者責任が生じる場合には、政府の自動車損害賠償保障事業の対象となる。
問題の所在(論点)
自賠法10条により適用除外とされる「道路以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」が、例外的に道路上で事故を起こした場合に、同法71条に基づく政府の自動車損害賠償保障事業の適用が認められるか。
規範
自賠法10条にいう「道路…以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」であっても、その本来の用途から外れて道路上を走行中に事故が発生し、かつ、自賠責保険の被保険者以外の者に同法3条の運行供用者責任が生じる場合には、同法71条の保障事業の適用がある。
重要事実
上告人の所有するフォークリフト(自賠法10条に該当する車両)が、本来の用途に反して道路上を走行中に事故を起こした。被害者の相続人は損害を被り、政府の保障事業を行う被上告人が損害の填補を行った。被上告人は、填補額の限度で相続人が上告人に対して有する損害賠償請求権を代位取得(自賠法72条1項)したとして、上告人に支払いを求めた。
あてはめ
本件車両(フォークリフト)は自賠法10条の車両に該当する。しかし、事故は道路上を走行中に発生しており、本来の用途から外れた運行形態であった。また、この事故により上告人には同法3条の運行供用者責任が生じている。したがって、保障事業の対象外とする事由は消失しており、被害者救済という保障事業の趣旨に照らし、同法71条の適用が認められる。
結論
本件事故には政府の保障事業の適用があるため、被上告人による代位取得後の損害賠償請求は認められる。
実務上の射程
自賠法10条の適用除外車両による事故であっても、「道路上での事故」かつ「運行供用者責任の発生」という要件を満たせば、実務上は保障事業の対象となり得ることを示す。答案では、保障事業の求償や代位の可否を論じる際の前提として活用する。
事件番号: 昭和52(オ)486 / 裁判年月日: 昭和52年9月22日 / 結論: 棄却
甲所有の自動車をその従業員乙が私用のために深夜運転中交通事故を起こした場合において、乙は従業員として就業時間外でも事務所の出入口の施錠をあける方法を教えられていて、事務所に保管されているエンジンキイを持ち出すことが自由にできる状態にあり、また、乙が右自動車を運転して赴いた右事務所と同一市内のキヤバレーには、乙がしばしば…