いわゆるファイナンス・リース契約において、利用者がリース物件の引渡しを受けていないのにリース業者にこれを受領した旨の受領書を交付し、その後リース業者が販売店からその経営不振を理由にリース物件を引き揚げたなど判示の事実関係の下においては、利用者は、リース物件を使用することができなかったからといって、リース料の支払義務を免れることはできない。
いわゆるファイナンス・リース契約において利用者がリース物件の使用ができなかったからといってリース料の支払義務を免れることができないとされた事例
民法601条
判旨
ファイナンス・リース契約におけるリース物件の使用とリース料支払義務は対価関係に立たないため、物件の使用不能がリース業者の責めに帰すべき事由によらない限り、ユーザーはリース料支払を拒めない。
問題の所在(論点)
物件が未納入のままリース業者がこれを引き揚げたことにより、ユーザーが物件を使用不能となった場合、リース料支払拒絶の正当な理由となるか(リース業者の責めに帰すべき事由の有無)。
規範
ファイナンス・リース契約は、ユーザーに対し金融上の便宜を付与する実態を有し、リース料支払債務は契約締結時に全額発生する。物件の使用とリース料の支払は対価関係に立たないため、物件が使用不能となった場合であっても、それがリース業者の責めに帰すべき事由によるものでないときは、ユーザーはリース料支払義務を免れない。
重要事実
ユーザー(被上告人)は、販売店から物件を導入する際、実際には未納入であるにもかかわらず、販売店の資金繰り協力のため「受領書」をリース業者(上告人)に交付した。リース業者はこれに基づき代金を支払った。その後、販売店の経営不振を知ったリース業者が、無断で販売店から物件を引き揚げたところ、ユーザーは物件の使用不能を理由にリース料の支払を拒絶した。リース業者は不払を理由に契約を解除し、残リース料相当の約定損害金を請求した。
事件番号: 平成10(受)128 / 裁判年月日: 平成12年6月27日 / 結論: その他
一 盗品又は遺失物の占有者は、民法一九四条に基づき右盗品等の引渡しを拒むことができる場合には、代価の弁償の提供があるまで右盗品等の使用収益権を有する。 二 盗品の占有者が民法一九四条に基づき盗品の引渡しを拒むことができる場合において、被害者が代価を弁償して盗品を回復することを選択してその引渡しを受けたときには、占有者は…
あてはめ
ユーザーは実際には引渡しを受けていないのに受領書を交付しており、上告人との関係では自ら占有すべき義務に違反して販売店に保管させていたものといえる。このような状況下で、リース業者が販売店の経営不振を理由に物件を引き揚げたことは無理からぬものであり、ユーザーが積極的に引渡しを求めたのに拒絶された等の事情がない限り、使用不能はユーザーの義務違反に起因する。したがって、本件使用不能はリース業者の責めに帰すべき事由によるものとはいえず、ユーザーは支払を拒めない。
結論
リース業者の解除は有効であり、ユーザーは残リース料相当の約定損害金等の支払義務を免れない。
実務上の射程
ファイナンス・リース契約の法的性質を「金融的性質」と捉える確立した判例である。ユーザーによる受領書の交付が、リース業者に対する信賴を生じさせる重要な事実として考慮される。答案上は、賃貸借の対価関係(民法601条)の例外として、リース契約特有の性質を論証する際に用いる。
事件番号: 平成3(オ)825 / 裁判年月日: 平成6年10月11日 / 結論: 破棄差戻
建物の賃借人の失火により右建物が全焼してその敷地の使用借権を喪失した賃貸人は、賃借人に対し、右建物の焼失による損害として、焼失時の建物の本体の価格と土地使用に係る経済的利益に相当する額とを請求することができる。
事件番号: 平成18(受)1187 / 裁判年月日: 平成19年2月13日 / 結論: その他
1 貸主と借主との間で継続的に貸付けが繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し,その後,第2の貸付けに係る債務が発生したときには,特段の事情のない限り,第1…
事件番号: 昭和35(オ)115 / 裁判年月日: 昭和37年11月1日 / 結論: 棄却
利息制限法第二条により元本の支払に充当されたものとみなされた金員相当額を再度支払つた場合は、借主が同条の趣旨を知つていたものでない限り、その返還を請求する権利が生ずる。
事件番号: 平成19(受)1128 / 裁判年月日: 平成21年9月11日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が,借主に対し,元利金の支払を怠ったときは当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下に3回にわたり金銭の貸付けを行い,各貸付けにつき借主が期限の利益を喪失した後に,一部弁済を受領する都度,弁済金を遅延損害金のみ又は遅延損害金と元金の一部に充当した旨記載した領収書兼利用明細書を交付していた場合において,次の(1)〜(…