境界確定の訴えを不適法として却下した原判決が違法であるとして上告審がこれを破棄する場合において、当該境界の所在が重要な争点である所有権確認の訴えも一審以来併合して審理され、右境界の所在につき当事者双方の主張、立証が尽くされ、原審が右境界を原告主張線であると認定して所有権確認請求を認容したなど判示のような事情があるときは、上告審は、事件を原審に差し戻すことなく、右境界は原告主張線であるとして自判することができる。
上告審が原審の訴え却下の判断を違法であるとしたにもかかわらず事件を原審に差し戻すことなく本案につき自判した事例
民訴法388条,民訴法408条1号
判旨
境界確定の訴えにおいて、対象土地の一方が地番の付されていない無地番地であっても、隣接する特定の地番の土地との境界を求める訴えであれば適法である。また、原審が境界を事実上認定しながら訴えを却下した場合、上告審は自判により境界を確定することが可能である。
問題の所在(論点)
境界確定の訴えの対象となる土地の一方が無地番地である場合、当該訴えは適法か。また、原審が訴えを不適法として却下したものの、事実関係として境界を認定している場合、上告審が自判できるか。
規範
境界確定の訴えが適法であるためには、隣接する土地の所有者間において、公法上の境界(筆界)の確定を求めるものであれば足りる。対象土地の一方に地番が付されていない場合であっても、具体的範囲をもって表示された土地と特定の地番の土地との境界の確定を求めるものであり、かつ両地が隣接していることが認められるのであれば、当該訴えは適法と解すべきである。
重要事実
上告人(国)は、具体的範囲を表示した地番の付されていない国有地(本件土地)と、これに隣接する被上告人らの共有地(特定の地番あり)との境界を確定することを求め、併せて所有権確認の訴えを提起した。第一審は境界を認定して上告人の請求を認めたが、原審は、一方が地番の付されていない土地であることから、境界確定の訴えとして不適法であるとして訴えを却下した(ただし、所有権確認請求については境界を事実上認定した上で認容した)。これに対し、国が上告した。
あてはめ
本件における請求の趣旨は、地番のある被上告人ら共有地と、これに隣接する無地番の国有地との境界確定を求める趣旨であると解される。記録上、両地が隣接している事実は明らかであり、境界を画定すべき範囲も特定されている。したがって、対象地の一方に地番がないことを理由に不適法とすることは法令の解釈を誤ったものである。また、原審は所有権確認の争点において既に当事者の主張・立証を尽くさせ、実質的に境界を認定している。このような場合、事件を差し戻すことなく、確定された事実に基づき直ちに境界を確定する自判をなすことが許される。
結論
本件境界確定の訴えは適法である。原判決のうち訴えを却下した部分を破棄し、第一審判決の認定に基づき、境界を上告人主張線と確定した第一審を維持して被上告人らの控訴を棄却する。
実務上の射程
境界確定の訴えの対象土地の特定に関する柔軟な解釈を示すものであり、国有地等の無地番地が関わる事案での訴訟要件の具備を確認する際に有用である。また、形式的な却下判決に対する破棄自判の許容範囲を示す判例としても位置づけられる。
事件番号: 平成22(受)285 / 裁判年月日: 平成23年6月3日 / 結論: 棄却
表題部所有者の登記も所有権の登記もない土地を時効取得したと主張する者が,当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えは,次の(1)〜(3)の事情の下では,確認の利益を欠く。 (1) 国は,当該土地が国の所有に属していないことを自認している。 (2) 国…
事件番号: 昭和32(オ)356 / 裁判年月日: 昭和33年7月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が係争地の具体的地域を特定し、祖先伝来の所有地であると主張して所有権確認を求めている場合、当該土地につき請求を認容することは、処分権主義に反しない。 第1 事案の概要:被上告人は、第一審から本件係争地の具体的地域を明らかにしていた。その上で、原審において、当該土地は祖先伝来の所有地であると主…