土地境界確定の訴においては、判決主文において、係争土地相互の境界を表示すれば足り、右土地の所有者が誰であるかを主文に表示することを要しない。
土地境界確定の訴における判決主文におい係争土地の所有者を表示することの要否。
民訴法225条,民訴法191条
判旨
土地境界確定の訴えにおいて、判決主文には特定の隣接地番の土地相互の境界を表示すれば足り、所有権確認の請求が含まれない限り所有者の氏名を主文に表示する必要はない。また、境界確定の訴えは、対象土地の共有者全員を当事者としてなされるべきである。
問題の所在(論点)
1. 土地境界確定の訴えにおいて、判決主文に土地所有者の氏名を表示する必要があるか。2. 共有者が関わる境界確定の訴えにおいて、共有者の一部が主文に表示されない場合に判決に違法が生じるか。
規範
土地境界確定の訴えは、特定の土地相互の公法上の境界線を画定するものである。そのため、判決主文には隣接地番の土地相互の境界を表示すれば足り、所有者の確定を目的とするものではないから、所有権確認の請求が併合されていない限り、所有者の氏名を主文に表示することは不要である。また、共有地に係る境界確定の訴えは、共有者全員が当事者となる必要がある(固有必要的共同訴訟)。
重要事実
上告人らは、熊本県球磨郡の山林(c番山林)の共有者であり、隣接するd番山林との境界確定を求めた。原審は上告人Aを含む11名を共有者と認定し、境界線を確定したが、判決主文においてAを共有者として表示しなかった。上告人は、主文にAが表示されていないことが理由不備・理由齟齬にあたると主張し、また境界確定の訴えの適法性を争って上告した。
あてはめ
本件は単なる境界確定の訴えであり、所有権確認の請求は含まれていない。したがって、特定の隣接地番の土地相互の境界が主文に表示されていれば足り、理由中でAを共有者と確定している以上、主文にその氏名がないことは違法ではない。むしろ主文にA以外の共有者を表示したことは無用な表示であるが、結論に影響しない。また、原審において共有者11名全員を当事者として確定しているため、訴えの適法性も維持されている。
結論
土地境界確定の訴えにおいて主文に所有者の表示は不要であり、共有者全員を当事者として境界を画定した原判決に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
境界確定の訴えが「所有権の範囲」ではなく「公法上の境界」を定める性質のものであることを示す。答案上、形式的形成訴訟としての性質から、主文の記載事項や固有必要的共同訴訟としての当事者適格の議論において、所有権確認との違いを明確にする際に引用すべき判例である。
事件番号: 昭和37(オ)938 / 裁判年月日: 昭和38年10月15日 / 結論: その他
境界確定訴訟の控訴裁判所は、第一審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第一審判決を変更して、正当と判断する線を境界と定めるべきのものであり、その結果が実際上控訴人にとり不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利である場合であつても、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないものと解すべきである。