判旨
裁判所が決定をもってした判断に対し、最高裁判所への特別抗告がなされた場合において、引用された判例が本件と事案を異にし適切でないときは、判例違反の主張は適法な抗告理由とならない。
問題の所在(論点)
特別抗告において、引用判例が事案を異にする場合や、実質的に事実認定の不当を訴える主張が、刑事訴訟法433条(特別抗告)の適法な理由となるか。
規範
刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告において、判例違反を理由とするためには、引用する判例が当該事案と同種の事項について判断を示しており、かつ原決定がこれに抵触する判断をしていることを要する。事案を異にする判例の引用や、単なる原決定の事実認定の非難は、適法な抗告理由を構成しない。
重要事実
抗告人は、原決定が判例に違反するとして最高裁判所に対し特別抗告を申し立てた。しかし、抗告人が引用した判例は本件と事案を異にするものであり、実質的には原決定における事実認定の当否を非難する内容であった。
あてはめ
本件において、抗告人が主張する判例違反の根拠として引用された判例は、本件と事案を異にしているため適切を欠く。また、抗告人の主張は、本質的には原決定の認定を非難するにとどまっている。これらは、憲法違反や判例違反を限定的に認める特別抗告の制度趣旨に照らし、適法な理由として認められない。
結論
本件特別抗告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
実務上、特別抗告を申し立てる際には、単に結論が不当であることを争うのではなく、最高裁判所の判例との直接的な抵触(同一の法的問題に対する異なる判断)を具体的に特定する必要がある。事実認定の誤りの指摘にとどまる主張は、判例違反としての形式を整えていても門前払いされることを示唆している。
事件番号: 昭和36(し)55 / 裁判年月日: 昭和36年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、特別抗告の理由として主張された判例違反が、事案を異にする判例の引用や原決定の事実認定に対する非難にすぎない場合には、適法な理由にならないと判断したものである。 第1 事案の概要:特別抗告人が、原決定に対して判例違反を理由に特別抗告を申し立てた事案。抗告人は特定の判例を引用して自説の正当性を…
事件番号: 昭和36(し)56 / 裁判年月日: 昭和36年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において引用された高等裁判所の判例が、事案を異にし本件に適切でない場合には、憲法違反や判例違反の主張としての具体性を欠くため、特別抗告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し、高等裁判所の判例に違反する旨を主張して特別抗告を申し立てた。しかし、抗告人が引用した各…
事件番号: 昭和36(し)62 / 裁判年月日: 昭和36年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の理由として主張される判例違反について、引用された判例が事案を異にする場合には、適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、特別抗告人が高等裁判所の判決に対して特別抗告を申し立てた事案である。抗告人は、原判決が複数の高等裁判所の判例に違反している旨を主張して抗告の理由としたが…
事件番号: 昭和36(し)59 / 裁判年月日: 昭和36年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件最高裁決定は、下級審の判断が引用された判例とは事案を異にするものであるとして、判例違反を理由とする特別抗告を棄却したものである。 第1 事案の概要:本件は、特別抗告人が高等裁判所の判例違反を主張して特別抗告を申し立てた事案である。しかし、抗告理由の中で引用された各高等裁判所の判例は、本件の具体…
事件番号: 昭和46(し)22 / 裁判年月日: 昭和46年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の必要性判断において罪証隠滅のおそれがあるとする原決定の認定は適法であり、実質的な事実誤認や法令違反の主張は特別抗告の理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が勾留決定に対し抗告したところ、原審(高等裁判所)は「罪証隠滅のおそれ」があるとしてこれを支持した。これに対し被告人が、憲法31条(…