申立人に対する広島高裁松江支部昭和三六年(う)第三七号窃盗、封印破棄、傷害被告事件について、昭和三六年九月二一日広島高等裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対する異議申立の棄却決定に対し、特別抗告の申立があつたが、本件記録によれば、原決定の謄本が申立人に送達されたのは昭和三六年九月二四日であるから、申立人が特別抗告をするには、刑訴四三四条、四二三条一項、四三三条二項により申立書を特別抗告の提起期間内(同月二九日まで)に原裁判所である広島高等裁判所へ提出しなければならない(昭和三五年二月九日第三小法廷決定、刑集一四巻一号一一七頁参照)のにもかかわらず、申立人は本件特別抗告申立書を直接最高裁判所に差し出した(最高裁判所に到達したのは前記期間経過後の同年一〇月一日である)のみならず、その申立書は直ぐ広島高等裁判所に回送されたけれども、同高等裁判所に到達したのは、同月四日であつて、法定の期間経過後であることが明らかである。よつて本件特別抗告申立は不適法である。
特別抗告申立書が直接最高裁判所に差し出された場合と特別抗告提起期間。
刑訴法423条1項,刑訴法433条2項,刑訴法434条
判旨
特別抗告を提起するには、法定の提起期間内に申立書を原裁判所に提出しなければならず、直接最高裁判所に提出し、原裁判所への回送・到達が期間経過後となった場合は不適法である。
問題の所在(論点)
特別抗告申立書を、提起期間内に原裁判所ではなく直接最高裁判所に提出し、その後に原裁判所に回送された場合、期間遵守の有無はどの時点を基準に判定されるか(刑訴法433条2項、423条1項の解釈)。
規範
特別抗告の提起については、刑事訴訟法433条2項、434条、423条1項に基づき、申立人は特別抗告の提起期間内に、申立書を原裁判所に提出しなければならない。最高裁判所に直接提出された場合であっても、期間内に原裁判所に到達しない限り、適法な申立とは認められない。
重要事実
事件番号: 昭和40(し)45 / 裁判年月日: 昭和40年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立ては、法定の抗告提起期間内に申立書を原裁判所に提出して行わなければならず、直接最高裁判所に提出された申立書が期間経過後に原裁判所に到達した場合は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、福岡高裁宮崎支部による裁判官忌避申立却下決定の送達を昭和40年5月23日に受けた。特別抗告の提起…
申立人は、裁判官忌避申立却下決定に対する異議申立棄却決定を受け、特別抗告を申し立てた。原決定の謄本は昭和36年9月24日に送達されたため、提起期間は同月29日までであった。しかし、申立人は申立書を直接最高裁判所に差し出し(10月1日到達)、その後最高裁判所から原裁判所(広島高等裁判所)へ回送されたものの、原裁判所に到達したのは期間経過後の同年10月4日であった。
あてはめ
本件において、特別抗告の法定提起期間は昭和36年9月29日までであった。申立人はこの期間内に原裁判所へ申立書を提出すべきであったが、実際には直接最高裁判所に差し出している。最高裁判所に到達した時点(10月1日)ですでに期間を経過しているのみならず、原裁判所へ回送・到達した時点(10月4日)も明らかに期間経過後である。したがって、法が定める提出先及び期間の要件をいずれも充足していない。
結論
本件特別抗告は、提起期間内に適法な提出先である原裁判所に提出されなかったため、不適法として棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上訴・申立の適法性を判断する際の「原裁判所主義」を再確認する判例である。実務上、提出先を誤った場合に救済される余地はなく、期間内に本来の提出先に到達することが厳格に求められる。答案上は、不服申立の適法性を論じる際、提出先(原裁判所)と期間(到達時)の両面からチェックするための根拠となる。
事件番号: 昭和43(し)81 / 裁判年月日: 昭和43年11月20日 / 結論: 棄却
本件特別抗告の提起期間は、昭和四三年九月二四日までであるところ、本件特別抗告の申立書は、同日午後五時一五分最高裁判所に差し出されたが、翌二五日原裁判所である東京地方裁判所に回送されて到達したものであるから、本件特別抗告の申立は、提起期間経過後のものであつて、不適法である。
事件番号: 昭和46(し)76 / 裁判年月日: 昭和46年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条2項に基づく特別抗告の申立期間(5日間)は、決定の謄本が被告人に送達された日から起算される。本件では、書留郵便による送達から5日を経過した後の申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人に対し、本件原決定の謄本が昭和46年7月23日に書留郵便に付される方法によって送…
事件番号: 昭和49(し)26 / 裁判年月日: 昭和49年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件申立ては、刑事訴訟法433条が規定する特別抗告の要件を満たさないため、不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は、申立人が下級審の決定等に対して不服を申し立てた事案である。しかし、提出された判決文からは、具体的な事件名、下級審の判断内容、および申立人が主張した具体的な不服理由…
事件番号: 昭和47(ク)334 / 裁判年月日: 昭和47年11月29日 / 結論: 却下
書留郵便に付して送達した決定に対する特別抗告の受理手続において、原裁判所が、抗告申立が、右郵便の発送から五日を経過していることを理由にこれを却下したのは正当であつて、右却下が憲法三二条に違反するとの上告理由はその前提を欠く。