判旨
特別抗告の申立ては、法定の抗告提起期間内に申立書を原裁判所に提出して行わなければならず、直接最高裁判所に提出された申立書が期間経過後に原裁判所に到達した場合は不適法である。
問題の所在(論点)
特別抗告の申立書を、適法な提出先である原裁判所ではなく、直接最高裁判所に提出した場合の上訴の効力および期間遵守の成否が問題となる。
規範
特別抗告の申立ては、刑訴法434条、423条1項、433条2項に基づき、抗告提起期間内に申立書を「原裁判所」へ提出しなければならない。直接上訴裁判所に提出された場合であっても、期間内に原裁判所に到達しない限り、適法な申立てとは認められない。
重要事実
申立人は、福岡高裁宮崎支部による裁判官忌避申立却下決定の送達を昭和40年5月23日に受けた。特別抗告の提起期間は同月28日までであったが、申立人は申立書を直接最高裁判所に差し出した。最高裁はこれを原裁判所へ回送したが、原裁判所に到達したのは期間経過後の同年6月5日であった。
あてはめ
本件において、抗告提起期間は5月28日までである。申立書が最高裁に到達したのが6月1日である上、回送を経て本来の提出先である原裁判所(福岡高裁宮崎支部)に到達したのは6月5日である。これは法定の期間を徒過していることが明らかであり、提出先の誤りによる遅延の不利益は申立人に帰属すると解される。
結論
本件抗告の申立ては不適法であり、刑訴法434条、426条1項により棄却を免れない。
実務上の射程
上訴提起における「原裁判所主義」を厳格に適用した事例である。実務上、上訴状等の提出先を誤ったことによる期間徒過は救済されないため、答案作成上も、不服申立ての適法性を検討する際は提出先と期間の双方を厳密にチェックする必要がある。
事件番号: 昭和36(し)49 / 裁判年月日: 昭和36年11月29日 / 結論: 棄却
申立人に対する広島高裁松江支部昭和三六年(う)第三七号窃盗、封印破棄、傷害被告事件について、昭和三六年九月二一日広島高等裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対する異議申立の棄却決定に対し、特別抗告の申立があつたが、本件記録によれば、原決定の謄本が申立人に送達されたのは昭和三六年九月二四日であるから、申立人が特別抗告をす…
事件番号: 昭和43(し)81 / 裁判年月日: 昭和43年11月20日 / 結論: 棄却
本件特別抗告の提起期間は、昭和四三年九月二四日までであるところ、本件特別抗告の申立書は、同日午後五時一五分最高裁判所に差し出されたが、翌二五日原裁判所である東京地方裁判所に回送されて到達したものであるから、本件特別抗告の申立は、提起期間経過後のものであつて、不適法である。
事件番号: 昭和45(し)24 / 裁判年月日: 昭和45年4月30日 / 結論: 棄却
忌避申立却下決定に対する即時抗告棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された時から進行をはじめる。
事件番号: 昭和46(し)76 / 裁判年月日: 昭和46年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条2項に基づく特別抗告の申立期間(5日間)は、決定の謄本が被告人に送達された日から起算される。本件では、書留郵便による送達から5日を経過した後の申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人に対し、本件原決定の謄本が昭和46年7月23日に書留郵便に付される方法によって送…
事件番号: 昭和35(し)1 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
特別抗告申立書が特別抗告提起期間内に、直接最高裁判所に差し出された場合に、それが最高裁判所から原裁判所に回送され、その期間経過後に原裁判所に到達したときは、特別抗告の申立は不適法である。