本件特別抗告の提起期間は、昭和四三年九月二四日までであるところ、本件特別抗告の申立書は、同日午後五時一五分最高裁判所に差し出されたが、翌二五日原裁判所である東京地方裁判所に回送されて到達したものであるから、本件特別抗告の申立は、提起期間経過後のものであつて、不適法である。
特別抗告の申立が提起期間経過後のものとして不適法とされた事例
刑訴法423条,刑訴法433条,刑訴法434条
判旨
特別抗告の申立ては、法定の提起期間内に申立書を原裁判所に差し出す必要があり、上訴裁判所に差し出された場合は、期間内に原裁判所に到達しない限り不適法となる。
問題の所在(論点)
特別抗告の申立書を、提起期間内に原裁判所ではなく上訴裁判所(最高裁判所)に提出した場合、提起期間を守ったものと認められるか。刑訴法434条、423条1項の「原裁判所への差出し」の要件が問題となる。
規範
特別抗告の提起期間は5日であり(刑訴法433条2項)、その申立ては申立書を原裁判所に差し出してしなければならない(同法434条、423条1項)。仮に申立書が上訴裁判所に差し出された場合であっても、法定期間内に原裁判所に到達しない限り、当該申立ては提起期間経過後のものとして不適法となる。
重要事実
弁護人は、東京地方裁判所がした準抗告棄却決定に対し、特別抗告を申し立てようとした。原決定の謄本は昭和43年9月19日に弁護人に送達されたため、提起期間の満了日は同月24日であった。しかし、弁護人は期間満了日である同月24日の午後5時15分に、申立書を「最高裁判所」に差し出した。最高裁判所はこれを受理した後、翌25日に原裁判所である東京地方裁判所へ回送し、同日に到達した。
事件番号: 昭和40(し)45 / 裁判年月日: 昭和40年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立ては、法定の抗告提起期間内に申立書を原裁判所に提出して行わなければならず、直接最高裁判所に提出された申立書が期間経過後に原裁判所に到達した場合は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、福岡高裁宮崎支部による裁判官忌避申立却下決定の送達を昭和40年5月23日に受けた。特別抗告の提起…
あてはめ
本件において、特別抗告の提起期間は9月24日までであった。弁護人は同日に申立書を提出しているが、その提出先は法律が定める原裁判所(東京地方裁判所)ではなく、上訴裁判所である最高裁判所であった。最高裁判所に差し出された申立書が原裁判所に回送され、実際に到達したのは期間満了翌日の25日である。したがって、法定の提起期間内に適法な差出し(原裁判所への到達)がなされたとはいえない。
結論
本件特別抗告は、提起期間経過後に申し立てられたものであり、不適法として棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上訴(抗告・特別抗告等)の申立書提出先に関する原則的な規律を示すものである。民事訴訟法上の上訴提起(民訴法286条1項等)と同様、原裁判所主義が厳格に適用されることを確認した事例であり、実務上、提出先の誤認は期間徒過の致命的なリスクとなることを示唆している。
事件番号: 昭和36(し)49 / 裁判年月日: 昭和36年11月29日 / 結論: 棄却
申立人に対する広島高裁松江支部昭和三六年(う)第三七号窃盗、封印破棄、傷害被告事件について、昭和三六年九月二一日広島高等裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対する異議申立の棄却決定に対し、特別抗告の申立があつたが、本件記録によれば、原決定の謄本が申立人に送達されたのは昭和三六年九月二四日であるから、申立人が特別抗告をす…
事件番号: 昭和43(し)83 / 裁判年月日: 昭和43年10月25日 / 結論: 棄却
保釈請求却下決定に対する準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された日から起算すべきである。
事件番号: 昭和52(し)102 / 裁判年月日: 昭和52年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立期間について、被告人と弁護人の双方に裁判書の謄本が送達された場合、その申立期間は、被告人に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:特別抗告の申立てが昭和52年7月26日になされた事案。原決定の謄本は、被告人に対しては同年7月18日に、主任弁護人に対しては同年7月25…
事件番号: 昭和45(し)24 / 裁判年月日: 昭和45年4月30日 / 結論: 棄却
忌避申立却下決定に対する即時抗告棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された時から進行をはじめる。