判旨
憲法14条1項の平等原則違反を主張する上告について、原判決が被告人の身分等を理由として差別した事実が記録上認められない場合には、違憲の主張はその前提を欠き、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原判決において被告人が身分等を理由に差別されたという事実が認められない場合、憲法14条違反の主張は適法な上告理由(刑訴法405条1号)となるか。
規範
憲法14条1項は法の下の平等を保障するが、裁判において同条違反の主張が認められるためには、判決において被告人が身分その他の理由によって不当に差別されたことを窺わせる具体的な資料が存在することが必要である。
重要事実
被告人が憲法14条違反等を理由として上告を申し立てた事案。弁護人は、原判決が被告人の身分等を理由に差別的な判断を行ったと主張し、憲法違反および判例違反を訴えたが、具体的な差別事態の存否が争点となった。なお、具体的な犯行事実については本判決文からは不明である。
あてはめ
記録を精査しても、原判決において被告人が身分その他の理由によって差別されたことを窺うに足りる資料は存在しない。したがって、弁護人が主張する違憲の前提となる事実が欠如しているといえる。また、引用された判例も事案を異にするため、判例違反の主張も失当である。
結論
本件上告には適法な上告理由がなく、棄却を免れない。
実務上の射程
憲法14条違反を上告理由として主張する際の基本的姿勢を示す。抽象的な平等原則の援用ではなく、判決プロセスにおける具体的な差別的取扱いの有無が厳格に問われることを示唆している。
事件番号: 昭和28(あ)2462 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が主張する違憲や判例違反の事由が、記録上の事実に基づかない場合や具体性を欠く場合には、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が憲法違反および判例違反等を理由として上告を申し立てた事案。被告人は複数の論点において憲法違反を主張したが、その前提となる事実は記録上確認できなかった…