共犯者が捜査上及び公訴提起上不当に利益を受けていることを理由とする憲法一四条、三一条違反の主張が欠前提とされた事例
憲法14条,憲法31条
判旨
検察官による公訴提起等の処分が、被告人の思想、信条、社会的身分又は門地などを理由になされた事実は認められず、憲法14条及び31条に違反しない。
問題の所在(論点)
検察官による公訴の提起が、特定の思想や身分を理由とする差別的なものである場合に、公訴権の濫用として憲法14条、31条に違反するか。
規範
公訴権の行使が、被告人の思想、信条、社会的身分又は門地などを理由として、一般の場合に比べ捜査上及び公訴提起上不当に不利益に取り扱われたと認められる場合には、法の下の平等(憲法14条)や適正手続き(憲法31条)に違反し、公訴権の濫用となる可能性がある。
重要事実
被告人が公訴提起等について上告し、自身の思想や信条、社会的身分等を理由に、他の一般的な事案と比較して不当に不利益な取扱いを受けたと主張して、憲法14条(平等権)および憲法31条(適正手続)違反を訴えた事案である。
あてはめ
本件記録を精査しても、被告人がその思想、信条、社会的身分または門地などを理由に、一般の場合に比べて捜査および公訴提起の段階で不当に不利益に取り扱われたという事実は認められない。したがって、差別的取扱いが存在することを前提とする憲法違反の主張は、その前提を欠いていると評価される。
結論
被告人に対する捜査および公訴提起に不当な差別的取扱いは認められず、憲法14条、31条に違反しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
公訴権濫用論のうち「差別的起訴」に関するリーディングケースの一つ。答案上は、公訴提起が裁量権の逸脱・濫用にあたるか検討する際、本判例を根拠に「特定の思想や身分に基づく不当な差別的取扱い」の有無を判断枠組みとして提示し、あてはめで事実の有無を検討する形で活用する。
事件番号: 昭和59(あ)191 / 裁判年月日: 昭和60年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に対する捜査および公訴の提起が、法の下の平等や適正手続に反して違憲・違法となることは、特段の事情がない限り認められない。 第1 事案の概要:本件において、被告人は捜査および公訴の提起が憲法14条および31条に違反するとして上告した。しかし、原判決が認定した事実関係によれば、当該捜査・起訴プロ…