差別的起訴を理由とする憲法一四条、四四条違反の主張が排斥された事例
憲法14条,憲法44条
判旨
検察官の公訴権の行使が、特定の政治的信条に基づく差別的なものである等、憲法14条や44条に違反する特段の事情がない限り、公訴提起の判断は検察官の裁量に委ねられる。
問題の所在(論点)
検察官による公訴の提起が、憲法14条や44条の定める平等原則に違反し、公訴棄却等の対象となるか。すなわち、検察官の訴追裁量の限界が問題となる。
規範
検察官は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる(刑事訴訟法248条)。この公訴提起の判断は検察官の広範な裁量に委ねられており、特定の政治的信条や身分に基づき公訴を提起したといった、平等原則(憲法14条、44条等)に違反する顕著な不当性が認められる特段の事情がない限り、その公訴提起が違法となることはない。
重要事実
被告人らに対し、公職選挙法違反等(詳細は判決文からは不明)に係る公訴が提起された。これに対し、被告人側は、検察官による本件各公訴の提起は、憲法14条(法の下の平等)及び憲法44条(投票資格等における平等の原則)に違反する差別的なものであるとして、公訴提起の適法性を争い上告した。
あてはめ
本件において、原判決が認定した事実関係を照らし合わせても、被告人らに対する公訴提起が特定の政治的意図や不当な差別に基づくものであるとは認められない。過去の最高裁判例の趣旨に照らしても、本件の公訴提起が平等原則に抵触し、裁量権を逸脱・濫用したものと評価すべき特段の事情は存在しないといえる。
結論
本件各公訴の提起は憲法14条、44条に違反せず、適法である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
公訴権濫用論のうち「不平等の訴追」に関するリーディングケースの一つ。答案上では、検察官の広い訴追裁量を前提としつつ、憲法14条違反等の「特段の事情」がある場合にのみ例外的に公訴棄却(刑訴法338条4号類推適用)を検討する際の規範として活用する。
事件番号: 昭和30(あ)1698 / 裁判年月日: 昭和30年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条が定める、選挙犯罪等による被選挙権等の停止規定は、憲法14条の法の下の平等および憲法44条但書の規定に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人は、公職選挙法違反の罪に問われ、同法252条に基づき、一定期間の被選挙権等の停止を伴う有罪判決を受けた。これに対し、被告人は同条の規…