判旨
法廷等の秩序維持に関する法律は、司法の使命とする正常かつ適正な運営を確保するために必要不可欠な権限を定めたものであり、憲法19条、21条、31条等の諸規定に違反しない。
問題の所在(論点)
法廷等の秩序維持に関する法律による秩序維持権の行使および制裁規定が、憲法が保障する精神的自由(19条、21条)や刑事手続上の諸原則(31条等)に抵触し、違憲とならないか。
規範
本法に基づく権限は、直接に憲法の精神、すなわち司法の使命とする正常かつ適正な運営の必要性に由来するものである。したがって、法廷秩序を維持するための制裁措置は、思想・良心の自由(19条)や表現の自由(21条)を不当に制限するものではなく、適正手続(31条以下)や公開裁判の原則(82条)にも反しない。
重要事実
特別抗告人が、法廷等の秩序維持に関する法律(本法)の規定が憲法19条(思想・良心の自由)、21条(表現の自由)、31条ないし34条(適正手続等)、37条(被告人の権利)、82条(裁判の公開)に違反し無効であると主張して、特別抗告を申し立てた事案である。抗告人は、本法が現状の裁判制度下において思想や表現を拘束するために利用されていると主張した。
あてはめ
最高裁は、本法による権限が司法の正常な運営という憲法上の要請に基づいていることを強調する。抗告人の主張は、裁判の現状に対する独自の非難を前提として、本法が思想や表現の自由を制限するために役立つとするものであるが、かかる前提は採用し得ない。また、手続面においても、先行判例(昭和33年大法廷決定)の趣旨に照らせば、適正手続や公開原則等の諸条項に違反しないことは明らかであると判断される。
結論
本法は憲法各条に違反せず合憲である。したがって、本件特別抗告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和35(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和35年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律2条1項の制裁規定は、憲法に違反するものではない。法廷の秩序を維持するための裁判所の措置は、司法権の適正な行使を保障する観点から合憲と解される。 第1 事案の概要:本件は、法2条1項に基づき制裁を受けた者が、当該規定が憲法に違反すると主張して特別抗告を申し立てた事案であ…
法廷秩序維持権の合憲性を包括的に肯定した判例であり、司法権の自律的な運営を保障するものである。答案上は、法廷内での不規則発言等に対する制裁が争点となった際、21条等の人権制約の正当化根拠として「司法の適正な運営の確保」を挙げる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(秩ち)3 / 裁判年月日: 昭和35年9月21日 / 結論: 棄却
法廷等の秩序維持に関する法律第二条にもとづき当該被告事件の弁護人を非公開の法廷で監置処分にしても、憲法第三一条、第三四条、第三七条第三項および第八二条に違反するものではない。
事件番号: 昭和55(秩ち)2 / 裁判年月日: 昭和55年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制裁手続が、憲法31条、32条、34条に違反しないことは、当裁判所の大法廷判例の趣旨に照らし明らかである。 第1 事案の概要:抗告人は、法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制裁を受けたが、同法による制裁の手続およびその解釈が、憲法31条、32条、34条に違反する…
事件番号: 昭和28(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和33年10月15日 / 結論: 棄却
一 法廷等の秩序維持に関する法律による制裁は従来の刑事的行政的処罰のいずれの範疇にも属しないところの、本法によつて設定された特殊の処罰である。そして本法は、裁判所または裁判官の面前その他直接に知ることができる場所における言動つまり現行犯的行為に対し裁判所または裁判官自体によつて適用されるものである。従つてこの場合は令状…
事件番号: 昭和44(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和44年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律(本法)は、制裁を科すための要件を具体的に定めており、憲法31条、82条1項、21条1項、32条、37条3項等に違反しない。法廷の秩序維持を目的とした制裁規定の構成要件は明確であり、適正手続等の憲法上の諸原則に抵触するものではない。 第1 事案の概要:申立人らは、法廷等…