出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律第七条第一項に「業として」とあるのは、反覆継続の意思を以て為す場合をいうのであつて、利益を得る目的を有することを必要としないと解した原判決の認定は正当である。
出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律第七条第一項にいう「業として」の意義。
出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律7条1項
判旨
出資法7条1項にいう「業として」とは、反復継続の意思をもって行うことをいい、利益を得る目的を有することは必要ではない。
問題の所在(論点)
出資法にいう「業として」の意義、特にその要件として「利益を得る目的(営利の目的)」が必要であるか否かが問題となる。
規範
「業として」の定義は、反復継続の意思をもって当該行為を行うことを指す。その際、営利の目的、すなわち利益を得る目的を主観的な要件として備えていることは必要とされない。
重要事実
被告人が出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律(出資法)違反の罪に問われた事案。原審は、同法7条1項(現在の規定構成とは異なる場合があるが、当時の罰則規定)に規定される「業として」の該当性について、営利目的の欠如を理由に否定すべきとの被告人側の主張に対し、営利目的は不要であると判断して有罪を維持した。これに対し、被告人が法令違反を理由に上告した。
事件番号: 昭和37(あ)1829 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条第二項にいわゆる「不特定」とは、一般大衆を指称し、たとえ一定の団体または集団に所属する物に限定されていても、その所属員が相当多数であつて、金銭の受入者との間に親族、知己等の如き個人的なつながりがない場合は、これにあたる。
あてはめ
出資法が「業として」行う行為を規制する趣旨は、反復継続的に行われる行為が社会経済秩序に与える影響を鑑みたものである。したがって、主観的に利益を得る目的(営利目的)が存するか否かにかかわらず、反復継続の意思をもって当該行為が行われているのであれば、その社会的影響力は「業」として規制の対象とするに足りる。本件においても、被告人の行為に反復継続の意思が認められる以上、営利目的の有無にかかわらず同要件を充足すると判断される。
結論
「業として」とは、反復継続の意思をもって行うことを指し、利益を得る目的を有する必要はない。したがって、被告人の行為は「業として」に該当し、原判決の判断は正当である。
実務上の射程
本判決は出資法に関するものであるが、刑法や行政刑法における「業として」の一般的解釈としても引用される。特に、営利目的の要否が争点となる特別法(貸金業法や医師法等)の解釈において、反復継続の意思さえあれば営利性がなくとも「業」に該当し得るという広範な射程を持つ。答案上は、構成要件要素である「業」の解釈として本規範を提示すべきである。
事件番号: 昭和33(あ)1571 / 裁判年月日: 昭和36年9月8日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は、憲法第一四条に違反しない。
事件番号: 昭和34(あ)2414 / 裁判年月日: 昭和36年4月26日 / 結論: 棄却
一 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は憲法第二九条に違反しない。 二 右法律第二条第二項にいわゆる「不特定且つ多数の者」とは、一般大衆を指称するのであり、たまたまその中に少数の親族を含んでいたからといつて、これを除外すべきものではない。
事件番号: 昭和52(あ)186 / 裁判年月日: 昭和52年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出資法2条の預り金禁止規定および同法11条1項の罰則規定は、憲法29条、13条、14条、22条のいずれにも違反せず、同法2条の規定は不明確とはいえない。 第1 事案の概要:被告人らは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(出資法)2条1項、2項に違反して預り金業務を行ったとして起訴され…
事件番号: 昭和43(あ)2408 / 裁判年月日: 昭和45年11月10日 / 結論: 棄却
金融機関の役員が、その地位を利用し、自己又は当該金融機関以外の第三者の利益を図るため、金員の貸付をなす行為は、その貸付資金が当該役員個人のものであつても、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律三条の規定に違反する。