一 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は憲法第二九条に違反しない。 二 右法律第二条第二項にいわゆる「不特定且つ多数の者」とは、一般大衆を指称するのであり、たまたまその中に少数の親族を含んでいたからといつて、これを除外すべきものではない。
一 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条と憲法第二九条。 二 右法律第二条第二項にいわゆる「不特定且つ多数の者」の意義。
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律2条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律11条,憲法29条
判旨
出資法による預金受入れの禁止及び処罰規定は、社会の信用制度と経済秩序の維持という公共の福祉を目的としており、契約の自由に対する必要かつ合理的な制限として合憲である。また、同法2条2項の「不特定且つ多数の者」とは一般大衆を指し、その中に少数の親族が含まれていても直ちに除外されない。
問題の所在(論点)
1.出資法2条および11条による預金受入れの制限・処罰が、契約の自由(憲法29条等)を侵害し違憲とならないか。2.出資法2条2項の「不特定且つ多数の者」の意義と、相手方に親族が含まれる場合の成否。
規範
契約の自由も公共の福祉維持のため、必要かつ合理的な範囲内において制限を受ける。また、出資法2条2項にいう「不特定且つ多数の者」とは一般大衆を指称するものであり、一般大衆を目的として同条所定の行為がなされる以上、その中に少数の親族が含まれていても除外されない。
重要事実
被告人が、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(出資法)2条に違反して、業として預金の受入れを行ったとして起訴された事案。弁護側は、同法が契約自由の原則に反し憲法29条等に違反すると主張したほか、預金の相手方に親族が含まれることから「不特定且つ多数の者」の要件を欠くと主張した。
事件番号: 昭和52(あ)186 / 裁判年月日: 昭和52年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出資法2条の預り金禁止規定および同法11条1項の罰則規定は、憲法29条、13条、14条、22条のいずれにも違反せず、同法2条の規定は不明確とはいえない。 第1 事案の概要:被告人らは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(出資法)2条1項、2項に違反して預り金業務を行ったとして起訴され…
あてはめ
1.受信業務は一般大衆から財貨を受託する公共性の強い業務であり、破綻時には社会の信用制度や経済秩序を攪乱するおそれがある。よって、預金者保護と経済秩序維持を目的とする本件規制は、公共の福祉を維持するための必要かつ合理的な措置といえる。2.同法の規定は「一般大衆」を対象とする行為を禁止する趣旨である。本件行為は一般大衆を目的としてなされた事実が認められ、その中にたまたま少数の親族が含まれていたとしても、全体として「不特定且つ多数の者」に対する行為であるという評価を左右しない。
結論
出資法2条、11条は憲法に違反しない。また、一般大衆を目的とする行為であれば、相手方に少数の親族が含まれていても同法2条2項の要件を充足する。
実務上の射程
経済的自由権に対する制限の合憲性判定基準として、目的の正当性と手段の合理性・必要性を考慮する枠組みを示した初期の判例である。また、出資法上の「不特定且つ多数」の解釈において、相手方の属性のみならず、行為の「目的」が一般大衆に向けられたものかを重視する基準を提示しており、実務上の規範となる。
事件番号: 昭和37(あ)1829 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条第二項にいわゆる「不特定」とは、一般大衆を指称し、たとえ一定の団体または集団に所属する物に限定されていても、その所属員が相当多数であつて、金銭の受入者との間に親族、知己等の如き個人的なつながりがない場合は、これにあたる。
事件番号: 昭和43(あ)182 / 裁判年月日: 昭和44年3月28日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律二条は、憲法三一条に違反しない。
事件番号: 昭和35(あ)1803 / 裁判年月日: 昭和35年11月16日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律第七条第一項に「業として」とあるのは、反覆継続の意思を以て為す場合をいうのであつて、利益を得る目的を有することを必要としないと解した原判決の認定は正当である。
事件番号: 昭和33(あ)1571 / 裁判年月日: 昭和36年9月8日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は、憲法第一四条に違反しない。