出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律二条、一一条が憲法三一条などに違反するものでないとされた事例
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律2条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律11条,憲法31条
判旨
出資法2条の預り金禁止規定および同法11条1項の罰則規定は、憲法29条、13条、14条、22条のいずれにも違反せず、同法2条の規定は不明確とはいえない。
問題の所在(論点)
出資法2条1項、2項および11条1項の規定は、明確性の原則に反し、あるいは財産権、職業選択の自由、平等権等の憲法各条項に違反して違憲となるか。
規範
特定の経済活動を規制する法律の規定が合憲であるか、あるいは明確性の原則に反しないかは、規制の目的、手段の合理性、および規定から読み取れる内容の特定可能性を基準に判断される。出資法2条の預り金規制については、公共の福祉に基づく合理的な制限として、財産権(憲法29条)、職業選択の自由(22条)、平等権(14条)等に抵触しない。
重要事実
被告人らは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(出資法)2条1項、2項に違反して預り金業務を行ったとして起訴された。これに対し、弁護人は同条の規定が不明確であり、かつ、同法2条および11条1項の規定が憲法13条、14条、22条、29条に違反して違憲であると主張し、上告した。
あてはめ
第一に、出資法2条1項、2項の規定内容は、一般の理解力をもって判断すればその禁止範囲が判然としており、不明確であるとはいえない。第二に、預り金規制は多額の資金を不特定多数から集めることによる社会的弊害を防止する公共の利益を目的としており、昭和36年の大法廷判決が示した通り、財産権の行使に対する合理的な制限である。この趣旨に照らせば、個人の尊重(13条)、法の下の平等(14条)、職業選択の自由(22条)を侵害するものとも認められない。
事件番号: 昭和34(あ)2414 / 裁判年月日: 昭和36年4月26日 / 結論: 棄却
一 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は憲法第二九条に違反しない。 二 右法律第二条第二項にいわゆる「不特定且つ多数の者」とは、一般大衆を指称するのであり、たまたまその中に少数の親族を含んでいたからといつて、これを除外すべきものではない。
結論
本件各規定は合憲であり、明確性の原則にも反しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
出資法違反の事案における典型的な憲法判断の枠組みとして活用できる。特に「預り金」概念の明確性や、経済的自由権への制約が公共の福祉により正当化されることを論証する際の根拠となる。ただし、判決文自体は過去の判例を引用する簡潔な構成であるため、具体的な合憲性判定のプロセスを答案で書く際は、引用されている昭和36年大法廷判決の論理を併せて参照することが望ましい。
事件番号: 昭和43(あ)182 / 裁判年月日: 昭和44年3月28日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律二条は、憲法三一条に違反しない。
事件番号: 昭和37(あ)1829 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条第二項にいわゆる「不特定」とは、一般大衆を指称し、たとえ一定の団体または集団に所属する物に限定されていても、その所属員が相当多数であつて、金銭の受入者との間に親族、知己等の如き個人的なつながりがない場合は、これにあたる。
事件番号: 昭和50(あ)1123 / 裁判年月日: 昭和50年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出資法5条1項による高金利の規制は立法政策の問題であり、憲法22条(職業の自由)及び29条(財産権)に違反しない。 第1 事案の概要:被告人Bらは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(以下「出資法」)5条1項に違反する高金利の契約・受領を行ったとして刑事訴追を受けた。これに対し、被告…
事件番号: 昭和35(あ)1803 / 裁判年月日: 昭和35年11月16日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律第七条第一項に「業として」とあるのは、反覆継続の意思を以て為す場合をいうのであつて、利益を得る目的を有することを必要としないと解した原判決の認定は正当である。