高金利の取締と憲法二二条、二九条
憲法22条,憲法29条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律5条1項
判旨
出資法5条1項による高金利の規制は立法政策の問題であり、憲法22条(職業の自由)及び29条(財産権)に違反しない。
問題の所在(論点)
出資法5条1項が定める高金利の処罰規定は、憲法22条(職業の自由)及び29条(財産権)に違反し、違憲とならないか。
規範
高金利の契約又はその受領をいかに規制するかは、国の立法政策の問題に属する事柄であり、憲法22条(職業の選択・遂行の自由)や29条(財産権の保障)と直接関係するものではない。したがって、公序良俗や国民経済の安定という観点からなされる合理的な制約は、憲法上許容される。
重要事実
被告人Bらは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(以下「出資法」)5条1項に違反する高金利の契約・受領を行ったとして刑事訴追を受けた。これに対し、被告人側は、同条による金利制限が憲法22条の職業の自由及び29条の財産権を侵害し違憲であると主張して上告した。
あてはめ
高金利の規制は、債務者の保護や社会経済秩序の維持という公共の福祉に基づく立法政策の範疇に属する。本件において、被告人らが主張する経済活動の自由や財産権の行使は、無制限に認められるものではない。出資法による制限は、法が追求する目的(高利による弊害の防止)との関係において立法府の裁量範囲内にあるものといえ、憲法が保障する各権利を直接侵害するものとは解されない。
事件番号: 昭和52(あ)186 / 裁判年月日: 昭和52年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出資法2条の預り金禁止規定および同法11条1項の罰則規定は、憲法29条、13条、14条、22条のいずれにも違反せず、同法2条の規定は不明確とはいえない。 第1 事案の概要:被告人らは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(出資法)2条1項、2項に違反して預り金業務を行ったとして起訴され…
結論
出資法5条1項は憲法22条、29条に違反しない。したがって、同条に基づく有罪判決は正当である。
実務上の射程
経済事犯における自由権(22条・29条)の制約の限界について、立法府の広い裁量を認める判例として活用できる。特に「立法政策の問題」として、具体的違憲審査において目的の正当性や手段の合理性を論じる際の前提となる枠組みを示すものである。
事件番号: 昭和43(あ)182 / 裁判年月日: 昭和44年3月28日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律二条は、憲法三一条に違反しない。
事件番号: 昭和34(あ)2414 / 裁判年月日: 昭和36年4月26日 / 結論: 棄却
一 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は憲法第二九条に違反しない。 二 右法律第二条第二項にいわゆる「不特定且つ多数の者」とは、一般大衆を指称するのであり、たまたまその中に少数の親族を含んでいたからといつて、これを除外すべきものではない。
事件番号: 昭和55(あ)826 / 裁判年月日: 昭和57年12月21日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律五条五項は、金銭の貸付を行う者が受ける元本以外の金銭は当該貸付に関するものと認められる限り利息の実質を有すると否とを問わずすべて利息とみなし、契約の締結及び債務の弁済の費用といえどもその例外とはしない趣旨である。
事件番号: 昭和52(あ)1271 / 裁判年月日: 昭和53年7月7日 / 結論: 破棄差戻
一 検察官が控訴をした事件は、たとえその申立理由が被告人に利益なものである場合であつても、刑訴法四〇二条にいう「被告人のため控訴をした事件」にあたらない。 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律五条一項違反の罪が反復累行された場合には、特段の事情のない限り、個々の契約又は受領ごとに一罪が成立する。