出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は、憲法第一四条に違反しない。
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条と憲法第一四条。
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律2条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律11条,憲法14条
判旨
法人の代表者がその業務に関して違反行為をした場合、両罰規定の適用にあたり法人は代表者の行為について直接に刑罰を科される。この際、代表者は事業主自身の行為と同視されるため、使用人等の代理行為に関する過失責任の議論は妥当しない。
問題の所在(論点)
法人の代表者自らが法人の業務に関して違反行為をした場合において、従業者(使用人等)が違反行為をした場合の事業主の責任に関する法理を適用し、法人の責任を制限することができるか。
規範
法人の代表者が、法人の業務に関して違反行為を行った場合、代表者自身の行為がそのまま法人の行為とみなされる。したがって、代理人や使用人等の従業者が違反行為をした場合に事業主の選任監督上の過失を問う責任追及の枠組みとは異なり、代表者の行為に基づき法人は直接責任を負う。
重要事実
被告人である宗教法人及びその代表者Aが、出資法(出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律)2条に違反して、業として預り金を行った。一審・二審ともに有罪判決を下したため、被告人側は、本件が法人の目的外行為であることや、従業者の行為に関する従来の過失責任の判例を引用して、法人の責任を否定すべく上告した。
事件番号: 昭和35(あ)1803 / 裁判年月日: 昭和35年11月16日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律第七条第一項に「業として」とあるのは、反覆継続の意思を以て為す場合をいうのであつて、利益を得る目的を有することを必要としないと解した原判決の認定は正当である。
あてはめ
本件では、被告人Aは宗教法人の代表者として、当該法人の業務に関し出資法違反の行為に及んでいる。被告人側は、従業者の違反行為に関する判例(過失責任の推定に関するもの等)を引用して無罪を主張するが、当該判例は「代理人、使用人その他の従業者」が違反行為をした場合に関するものである。本件のように代表者自らが違反行為をした場合は、法人の手足としての行為そのものであり、従業者の行為とは事案の性質を異にするため、引用された判例を適用する余地はない。
結論
法人の代表者自らが違反行為をした場合、従業者の行為に関する過失責任の法理は適用されず、法人は当然に刑事責任を負う。本件各上告は棄却される。
実務上の射程
両罰規定において、法人の「代表者」による違反と「従業者」による違反を峻別する基準となる。答案上、代表者の行為については無過失の証明による免責の余地が極めて限定的(あるいは否定)であることを論じる際に、本判決の趣旨を引用して、従業者に関する過失責任の議論と混同しないよう注意すべきである。
事件番号: 昭和37(あ)1829 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条第二項にいわゆる「不特定」とは、一般大衆を指称し、たとえ一定の団体または集団に所属する物に限定されていても、その所属員が相当多数であつて、金銭の受入者との間に親族、知己等の如き個人的なつながりがない場合は、これにあたる。
事件番号: 昭和34(あ)2414 / 裁判年月日: 昭和36年4月26日 / 結論: 棄却
一 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条、第一一条は憲法第二九条に違反しない。 二 右法律第二条第二項にいわゆる「不特定且つ多数の者」とは、一般大衆を指称するのであり、たまたまその中に少数の親族を含んでいたからといつて、これを除外すべきものではない。
事件番号: 昭和43(あ)2408 / 裁判年月日: 昭和45年11月10日 / 結論: 棄却
金融機関の役員が、その地位を利用し、自己又は当該金融機関以外の第三者の利益を図るため、金員の貸付をなす行為は、その貸付資金が当該役員個人のものであつても、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律三条の規定に違反する。
事件番号: 昭和52(あ)186 / 裁判年月日: 昭和52年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出資法2条の預り金禁止規定および同法11条1項の罰則規定は、憲法29条、13条、14条、22条のいずれにも違反せず、同法2条の規定は不明確とはいえない。 第1 事案の概要:被告人らは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(出資法)2条1項、2項に違反して預り金業務を行ったとして起訴され…