所論公職選挙法二五二条が、所論憲法前文、同一四条、一五条、四四条に違反するものでないこと、及び国民の参政権を不当に奪うものでないことは当裁判所の判例の趣旨とするところである。(昭和二九年(あ)四三九号、同三〇年二月九日大法廷判例集九巻二号二一七頁参照)
公職選挙法第二五二条の合憲性。
憲法前文,憲法14条,憲法15条,憲法44条,公職選挙法252条
判旨
公職選挙法252条の規定は憲法15条等に違反せず、同条3項は刑の言渡しに伴う参政権停止の効力を維持するか否かに関する裁判所の量刑的裁量を定めたものである。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条が、特定の受刑者に対して選挙権・被選挙権を停止(欠格条項の適用)することが憲法違反となるか。また、同条3項の規定の法的性格はどう解されるべきか。
規範
公職選挙法等の規定により、特定の犯罪に処せられた者に対して一律に選挙権・被選挙権を停止することは、憲法前文、14条、15条、44条に違反せず、国民の参政権を不当に奪うものではない。また、同法252条3項は、本来法律上当然に発生すべき停止効果を発生させない、あるいは期間を短縮するか否かについて、裁判所に量刑的裁量を付与した規定であると解する。
重要事実
上告人は、公職選挙法違反の罪に問われ、同法252条1項の適用を受ける刑を言い渡された。これに対し上告人は、同条が憲法14条(法の下の平等)、15条(参政権)、44条(議員資格の平等)等に違反し、国民の参政権を不当に奪うものであると主張して上告した。また、同条3項による執行停止等の裁量の在り方についても争われた。
あてはめ
最高裁判例の趣旨に照らせば、公職選挙法252条による参政権制限は、選挙の公正を確保するという合理的目的等に基づく制約として憲法に違反しない。同条3項については、被告人の利益のために設けられた規定であり、本来は同条1項により当然に発生する参政権停止という不利益を、事案の個別具体的事情(情状)に応じて緩和するか否かを、刑事裁判所の量刑的裁量に委ねたものといえる。
結論
公職選挙法252条は憲法に違反しない。上告棄却。
実務上の射程
参政権の制限(選挙権の欠格条項)に関する憲法適合性の判断基準として活用できる。特に、刑の宣告に伴う付随的効果としての権利制限が、裁判所の裁量権の範囲内であるか、または法律による一律の制限が合理的であるかを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和55(あ)491 / 裁判年月日: 昭和55年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条1項による選挙犯罪等の受刑者に対する参政権の制限は、公共の福祉の観点から許容されるものであり、憲法14条および44条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は選挙犯罪等に関連して公職選挙法違反に問われた者であり、同法252条1項の規定により、一定期間、選挙権および被選挙権を停止さ…