判旨
再審請求棄却決定に対する即時抗告を棄却した高等裁判所の決定に対し、最高裁判所へ上告または抗告を申し立てることは、法律に特別の規定がない限り不適法である。
問題の所在(論点)
高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対する即時抗告をさらに棄却する決定に対し、最高裁判所への上告または抗告の申立てが認められるか。
規範
1. 上告は、高等裁判所がした「判決」に対してのみ許される(刑訴応急措置法13条)。2. 最高裁判所は、上告のほか、訴訟法において特に定める抗告についてのみ裁判権を有する(裁判所法7条)。3. したがって、法律に特別の定めがない限り、高等裁判所の「決定」に対して最高裁判所へ不服を申し立てることはできない。
重要事実
申立人は、大正時代に有罪判決が確定した事件につき、昭和32年に再審請求を行った。横浜地方裁判所が再審請求を棄却し、これに対する即時抗告を受けた東京高等裁判所も抗告棄却の決定を下した。申立人は、この高等裁判所の「決定」を不服として、最高裁判所に「上告」を申し立てた事案である。
あてはめ
まず、本件不服申立の対象は高等裁判所の「決定」であり、刑訴応急措置法13条が定める「判決」ではないため、上告の対象とならない。次に、最高裁判所に対する抗告について検討するに、裁判所法7条により特別の規定が必要であるが、刑訴応急措置法18条(憲法判断を含む場合等)の要件を本件申立理由は満たしていない。その他、本件のような決定に対して最高裁判所への不服申立を許容する特別の規定は存在しない。
結論
本件上告および抗告の申立ては、いずれも法律上の根拠を欠き不適法であるため、棄却されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和34(す)54 / 裁判年月日: 昭和34年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、刑訴応急措置法18条1項に規定される憲法違反等の特別の理由がある場合に限り、下級裁判所の決定に対する抗告を受理する権限を有する。憲法上の判断を含まない再審請求棄却決定に対する抗告は、同項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所がなした再審請求棄却決定に対し、旧…
旧法下の事件に関する判断であるが、現行法下においても、決定に対する不服申立(特別抗告等)には厳格な法的根拠と憲法違反等の事由が必要であるという基本原則を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和32(す)356 / 裁判年月日: 昭和32年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下で提起された事件の再審請求棄却決定に対し、最高裁判所への即時抗告は認められない。最高裁判所の裁判権は裁判所法7条により限定されており、法規に定めのない抗告を受理することはできない。 第1 事案の概要:抗告人は強盗殺人等の罪で有罪判決を受け、その判決が確定した。これに対し抗告人が再審請…
事件番号: 昭和33(す)195 / 裁判年月日: 昭和33年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所法7条にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法上で特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告のみを指し、高等裁判所の決定・命令に対する一般的な抗告は含まれない。 第1 事案の概要:本件は旧刑事訴訟法が適用される事件であり、抗告人は高等裁判所の決定に対して即時抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…
事件番号: 昭和28(し)74 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、直接抗告を申し立てることはできない。また、特別抗告として申し立てる場合であっても、その理由が再審事由等の法定された事由に該当しない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立…