判旨
旧刑事訴訟法下で提起された事件の再審請求棄却決定に対し、最高裁判所への即時抗告は認められない。最高裁判所の裁判権は裁判所法7条により限定されており、法規に定めのない抗告を受理することはできない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法510条に基づく再審請求棄却決定に対する即時抗告において、最高裁判所が管轄裁判所として当該抗告を受理し得るか。
規範
最高裁判所の裁判権は、裁判所法7条により、上告及び訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告に限定される。旧刑事訴訟法510条の即時抗告であっても、最高裁判所を管轄裁判所とする旨の明文の規定がない限り、当該抗告は不適法となる。
重要事実
抗告人は強盗殺人等の罪で有罪判決を受け、その判決が確定した。これに対し抗告人が再審請求を行ったところ、東京高等裁判所は再審請求棄却決定を下した。抗告人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立てた。本件は刑事訴訟法施行前に公訴提起された事件であり、刑事訴訟法施行法2条により、旧刑事訴訟法及び刑事訴訟応急措置法が適用される事案であった。
あてはめ
最高裁判所の権限は裁判所法7条に基づき限定されている。旧刑事訴訟法510条は上級裁判所への即時抗告を認めているが、最高裁判所を管轄とする規定はない。また、刑事訴訟応急措置法18条の特別抗告とみなす余地もあるが、抗告理由において同条所定の憲法違反等の事由が主張されていない。したがって、本件抗告は管轄裁判所の定めのない不適法な申し立てであると評価される。
結論
本件即時抗告は不適法であり、棄却される。最高裁判所への即時抗告の途は開かれていない。
実務上の射程
事件番号: 昭和28(し)74 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、直接抗告を申し立てることはできない。また、特別抗告として申し立てる場合であっても、その理由が再審事由等の法定された事由に該当しない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立…
法改正の経過措置(施行法)が絡む特殊な事例だが、最高裁判所の裁判権が裁判所法7条により限定列挙されているという原則を示す。答案上は、不服申立方法の適否が問題となる場面で、裁判所の管轄権の根拠規定を厳格に解釈する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和34(す)325 / 裁判年月日: 昭和34年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する即時抗告を棄却した高等裁判所の決定に対し、最高裁判所へ上告または抗告を申し立てることは、法律に特別の規定がない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大正時代に有罪判決が確定した事件につき、昭和32年に再審請求を行った。横浜地方裁判所が再審請求を棄却し、これに対する…
事件番号: 昭和39(し)90 / 裁判年月日: 昭和40年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧法下で終結した事件の再審請求に対する高等裁判所の決定については、旧刑訴法及び刑訴応急措置法が適用され、最高裁判所への即時抗告は許されず、憲法違反等の事由がある場合の特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:本件は、旧旧刑訴法の下で公訴が提起され、かつ終結した強盗殺人事件である。これに対する再…
事件番号: 昭和40(し)17 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告のほか訴訟法において特に定める抗告についてのみ裁判権を有するところ、旧法事件において右にいう抗告とは、刑訴応急措置法18条による抗告のみをいう。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所がした再審請求棄却決定を不服として、旧刑訴法510条に基づき最高裁判所に対して即時抗告を申し立てた…
事件番号: 昭和33(す)195 / 裁判年月日: 昭和33年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所法7条にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法上で特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告のみを指し、高等裁判所の決定・命令に対する一般的な抗告は含まれない。 第1 事案の概要:本件は旧刑事訴訟法が適用される事件であり、抗告人は高等裁判所の決定に対して即時抗告を申し立てた。…