判旨
判決訂正申立事件において、先行する本案判決に事実誤認があることを理由とする裁判官の忌避申立ては、申立人の独自の見解に基づき、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかであるとして却下される。
問題の所在(論点)
先行する本案判決において事実誤認があったと主張してなされた、判決訂正申立事件の担当裁判官に対する忌避申立てが、訴訟遅延目的の申立てとして刑訴法24条1項により却下されるべきか。
規範
刑事訴訟法24条1項に基づく裁判官の忌避において、申立てが「訴訟を遅延させる目的のみでされたこと明らかである」と認められる場合には、その申立ては不適法として却下される。
重要事実
申立人は、私文書偽造等の被告事件において、最高裁判所第三小法廷がなした上告棄却判決に事実誤認があると主張。当該判決に対する判決訂正申立事件において、同一の裁判官らが担当することは不公平な裁判をするおそれがあるとして、構成裁判官全員の忌避を申し立てた。
あてはめ
申立人の主張は、先行する判決に事実誤認があるという独自の見解を前提とするものである。このような根拠のない前提に基づく不公平の主張は、客観的に裁判の公正を疑わせる事情とは言えず、単に手続の進行を妨げる性質のものと解される。したがって、本件申立ては訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らかであるといえる。
結論
本件忌避の申立ては、訴訟遅延目的が明らかであるため却下される。
実務上の射程
判決訂正の申立てなど、既になされた判断の再審査を求める場面において、単に前審の判断内容が不当であるという主観的な不満を理由に裁判官を忌避することは、訴訟遅延目的とみなされ、簡易却下の対象となることを示している。
事件番号: 昭和52(す)64 / 裁判年月日: 昭和52年4月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所の審理手続に対する不服のみを理由とする忌避の申立ては、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかであるとして、刑訴法24条に基づき却下される。 第1 事案の概要:公務執行妨害被告事件の上告審において、申立人が担当裁判所である最高裁判所第三小法廷の裁判官全員を忌避する旨の申立てを行った。当該…