最高裁裁判官に対する忌避申立の簡易却下事例
刑訴法24条
判旨
裁判官に対する忌避の申立てが、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかである場合には、刑事訴訟法24条に基づき、当該申立てを却下することができる。
問題の所在(論点)
裁判官に対する忌避の申立てが、もっぱら訴訟を遅延させる目的でなされたことが明らかな場合、裁判所はどのように処理すべきか(刑事訴訟法24条の適用範囲)。
規範
裁判官に対する忌避の申立て(刑事訴訟法21条)が、正当な理由に基づくものではなく、単に訴訟手続の進行を妨げ、遅延させる目的のみでなされたことが客観的な記録上明らかである場合には、同法24条1項の規定により、決定をもってこれを却下することができる。
重要事実
被告人Aに対する贈賄被告事件の審理において、申立人は担当裁判官3名(関根小郷、天野武一、坂本吉勝)に対する忌避の申立てを行った。本件の訴訟記録を精査したところ、当該申立てには実質的な理由が欠如しており、専ら訴訟を遅延させる意図に基づきなされたものであることが認められた。
あてはめ
本件における忌避の申立ては、記録によれば訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らかである。刑事訴訟法24条は、申立てが不適法である場合の却下を定めているところ、訴訟遅延目的の申立ては制度の濫用であり、不適法な申立てに当たると評価される。したがって、本件申立ては同条に基づき却下されるべきである。
結論
本件忌避の申立てを却下する。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における忌避制度の濫用(遅延目的)に対する裁判所の対抗措置を明示したものである。司法試験の答案においては、訴訟遅延目的の申立てを「不適法」として速やかに排除できる法的根拠として、刑事訴訟法24条1項の解釈に用いることができる。また、簡易却下決定(同法25条との関係)が許容される場面を基礎付ける法理としても重要である。
事件番号: 昭和49(す)42 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判官の忌避の申立てにおいて、申立ての原因(忌避を必要とする具体的な事由)が示されていない場合は、手続上の要件を欠く不適法なものとして却下される。 第1 事案の概要:窃盗、非現住建造物放火、住居侵入の罪に問われている被告人が、最高裁判所の担当裁判官2名(大隅健一郎、下田武三)に対し、忌避(書面上の…
事件番号: 昭和52(す)64 / 裁判年月日: 昭和52年4月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所の審理手続に対する不服のみを理由とする忌避の申立ては、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかであるとして、刑訴法24条に基づき却下される。 第1 事案の概要:公務執行妨害被告事件の上告審において、申立人が担当裁判所である最高裁判所第三小法廷の裁判官全員を忌避する旨の申立てを行った。当該…