上告取下げの有効性が争われた事件において忌避申立てが適法とされた上で理由がないといて排斥された事例
刑訴法23条
判旨
上告取下げの撤回とともに提起された裁判官の忌避申立てについて、所論の事情が「不公平な裁判をするおそれがあるとき」(刑訴法21条)に当たらない場合には、当該申立ては理由がないとして却下される。
問題の所在(論点)
上告取下げの撤回と同時に提起された忌避の申立てが、刑事訴訟法21条1項の「不公平な裁判をするおそれがあるとき」に該当し、適法な忌避理由となり得るか。
規範
刑事訴訟法21条1項にいう「裁判官が不公平な裁判をするおそれがあるとき」とは、通常人の判断において裁判官が偏頗な裁判をするのではないかとの疑念を抱くのが客観的に合理的であると認められる特段の事情がある場合を指す。
重要事実
逮捕監禁、強姦致傷被告事件の各被告人が、上告の取下げを一度行った後、その撤回を申し立てる書面を提出した。その際、併せて担当裁判官らに対する忌避の申立てを行ったが、その具体的理由は判決文からは不明である。
あてはめ
申立人が主張する諸般の事情を考慮しても、当該裁判官らが不公平な裁判をする客観的な恐れがあるとは認められない。したがって、通常人の視点から見て裁判の公正を疑うに足りる合理的根拠が存在しないと判断される。
結論
本件各忌避の申立てには理由がないため、刑事訴訟法23条に基づき却下する。
実務上の射程
裁判官の忌避が認められるハードルは極めて高く、単に上告取下げの撤回という手続上の特殊な状況に乗じて申し立てられたとしても、客観的な不公平の恐れを具体的に立証できない限り、実務上は速やかに却下される。答案上は、忌避の要件を検討する際の当てはめ資料として、具体的疎明の欠如を指摘する文脈で参照し得る。
事件番号: 昭和38(す)324 / 裁判年月日: 昭和38年10月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判官について「不公平な裁判をする虞がある」と認められる客観的な事由が存在しない場合、刑事訴訟法21条に基づく忌避の申立ては理由がないとして却下される。 第1 事案の概要:被告人AおよびBに対する暴力行為等処罰に関する法律違反等被告事件において、申立人が最高裁判所の下飯坂裁判官を忌避する旨を申し立…
事件番号: 昭和47(す)65 / 裁判年月日: 昭和47年6月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判官に対する忌避の申し立てにおいて、不公平な裁判をするおそれがあると認められる客観的な事情が存在しない場合には、当該申し立ては理由がないものとして却下される。 第1 事案の概要:業務上過失傷害被告事件の被告人(申立人)が、担当裁判官らに対して忌避の申し立てを行った。申立人は、別紙記載の事情(具体…