小法廷の全裁判官に対する忌避申立につき決定をする裁判所(代理で処理した事例)
刑訴法23条,刑訴法26条
判旨
裁判官に対する忌避の申し立てにおいて、不公平な裁判をするおそれがあると認められる客観的な事情が存在しない場合には、当該申し立ては理由がないものとして却下される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法21条1項に規定される「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」の意義、および具体的申立事由が同要件に該当するか。
規範
刑事訴訟法20条各号に掲げる除斥事由には該当しないものの、裁判の公正を妨げるべき客観的な事情が存在する場合に、不公平な裁判をするおそれがある(刑事訴訟法21条1項)といえる。具体的には、通常人の判断において裁判官が偏頗な裁判をするのではないかとの疑念を抱くのが相当とされる客観的事由が必要である。
重要事実
業務上過失傷害被告事件の被告人(申立人)が、担当裁判官らに対して忌避の申し立てを行った。申立人は、別紙記載の事情(具体的な内容は判決文からは不明)を理由として、裁判官らが不公平な裁判をするおそれがあると主張した。
あてはめ
申立人が主張する各事情を検討しても、それらは単なる主観的な疑念や不満にとどまるものであり、客観的にみて裁判官が不公平な裁判を行う蓋然性を示すものとは認められない。したがって、通常人の視点からみて裁判の公正が害されるおそれがあると認めるに足りる事情は存在しないと評価される。
結論
本件各忌避申し立てには理由がないため、刑事訴訟法23条、26条に基づき棄却(却下)される。
実務上の射程
忌避制度の濫用を防止する観点から、不公平のおそれについては客観的な事情が必要であることを示す。答案上は、単なる訴訟指揮への不満や判決への予測に基づく忌避が認められないことを説明する際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和48(す)244 / 裁判年月日: 昭和48年9月20日 / 結論: 却下
裁判官が、任官前、審理の対象となつている条例の立案過程において、当該条例案の合憲性に関する立案当事者の意見照会に対し、当時の法務府法制意見第一局長として純然たる法律解釈に関する意見回答をしたからといつて、事件につき裁判の公正を妨げるおそれがある予断または偏見があるものとすることはできない。