判旨
裁判官が不公平な裁判をするおそれがあるとは認められないため、刑事訴訟法に基づく忌避の申立てには理由がなく、却下されるべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法第21条第1項に基づき、特定の担当裁判官に対して「不公平な裁判をする虞がある」と認められる事由が存在するか。
規範
裁判官について刑事訴訟法第21条に規定する「不公平な裁判をする虞があるとき」とは、通常人の判断において、裁判官が事件につき偏見や予断を持って裁判に臨むことが客観的に懸念される場合をいう。
重要事実
被告人AおよびBに対する暴力行為等処罰に関する法律違反等被告事件に関し、申立人らが最高裁判所第一小法廷の担当裁判官(下飯坂裁判官)を忌避する旨を申し立てた。なお、申立の具体的な原因事由については判決文からは不明である。
あてはめ
本件における忌避の申立てについて検討するに、提出された申立内容を精査しても、当該裁判官が対象事件につき不公平な裁判をするおそれがあると認められる客観的な事由は何ら存在しない。申立人の主張は、裁判の公正さを疑わせるに足りる具体的な事実に基づいたものとはいえない。
結論
本件忌避の申立ては理由がないため、棄却(却下)を免れない。
実務上の射程
裁判官の忌避が認められるハードルは極めて高く、単なる主観的な疑念や不満では足りないことを示している。実務上、忌避申立てを行う際には、客観的に不公平さを裏付ける具体的態様の主張が必要となる。
事件番号: 昭和38(す)322 / 裁判年月日: 昭和38年10月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判官を忌避するためには、客観的事実に基づいて「不公平な裁判をする虞がある」と認められる事由が必要であり、根拠のない申立ては認められない。 第1 事案の概要:暴力行為等処罰に関する法律違反等被告事件の被告人AおよびBが、担当裁判官である下飯坂裁判官に対し、不公平な裁判をする虞があるとして忌避を申し…