第三小法廷裁判官全員に対する忌避申立が簡易却下された事例
刑訴法24条
判旨
裁判所の審理手続に対する不服のみを理由とする忌避の申立ては、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかであるとして、刑訴法24条に基づき却下される。
問題の所在(論点)
裁判官全員に対する忌避の申立てが、審理手続への不服のみを理由とするものである場合、刑訴法24条1項に基づく却下事由(訴訟遅延目的)に該当するか。
規範
忌避の申立てが、単に裁判所の審理手続に対する不服を理由とするものであり、かつ訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかである場合には、刑訴法24条1項の規定に基づき、当該裁判所(受訴裁判所)による却下決定の対象となる。
重要事実
公務執行妨害被告事件の上告審において、申立人が担当裁判所である最高裁判所第三小法廷の裁判官全員を忌避する旨の申立てを行った。当該申立ての理由は、同小法廷が行った審理手続に対する不満のみであった。
あてはめ
本件申立ての内容を検討すると、当裁判所の審理手続に対する不服を述べるにとどまっており、具体的かつ適法な忌避原因の主張が含まれていない。このような態様での申立ては、客観的にみて訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らかであるといえる。したがって、刑訴法24条1項の「訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかなとき」に合致すると評価される。
結論
本件忌避の申立ては却下される。
実務上の射程
本決定は、忌避制度の濫用に対する受訴裁判所自身の自浄作用(簡易却下)を認めたものである。答案上は、忌避権の濫用(刑訴法24条1項)の具体例として、審理手続への不満を理由とする一括忌避が挙げられる際に引用すべき射程を持つ。
事件番号: 昭和34(す)237 / 裁判年月日: 昭和34年9月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】判決訂正申立事件において、先行する本案判決に事実誤認があることを理由とする裁判官の忌避申立ては、申立人の独自の見解に基づき、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかであるとして却下される。 第1 事案の概要:申立人は、私文書偽造等の被告事件において、最高裁判所第三小法廷がなした上告棄却判決に事…
事件番号: 昭和26(す)109 / 裁判年月日: 昭和26年5月11日 / 結論: 却下
上告の申立の理由があるかないかということ及びその理由のないことが明かであるかどうかということは、憲法及び法律に則り上告裁判所がその良心に従い独立して判断すべきところに委ねられている事柄である。しかるに、本件忌避の申立は、自己の上告の理由あることを独断して当裁判所を構成する裁判官全員に不公平の裁判をする虞ありとするもので…
事件番号: 昭和43(す)184 / 裁判年月日: 昭和43年9月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らかな裁判官の忌避申立ては、刑事訴訟法24条に基づき却下されるべきである。 第1 事案の概要:窃盗、住居侵入、強姦等の被告事件について、最高裁判所が上告棄却決定を下した。これに対し、申立人は決定への異議申立てを行うと同時に、最高裁判所裁判官全員を忌避する旨…