判旨
訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らかな裁判官の忌避申立ては、刑事訴訟法24条に基づき却下されるべきである。
問題の所在(論点)
裁判官全員を対象とする忌避申立てが「訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らか」といえるか、またその場合の申立ての許否(刑訴法24条)。
規範
裁判官に対する忌避申立てが、訴訟を不当に遅延させる目的のみでなされたことが客観的に明白である場合には、刑事訴訟法24条の趣旨に基づき、当該申立てを却下することができる。
重要事実
窃盗、住居侵入、強姦等の被告事件について、最高裁判所が上告棄却決定を下した。これに対し、申立人は決定への異議申立てを行うと同時に、最高裁判所裁判官全員を忌避する旨の申立てを行った。
あてはめ
申立人は上告棄却決定後の異議申立てと同時に、最高裁判所裁判官全員という広範な対象に対して忌避を申し立てている。このような申立ては、適正な裁判の実現を目指すものではなく、単に手続の進行を妨げ、訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らかであると評価される。
結論
本件忌避申立ては訴訟遅延目的が明白であるため、刑事訴訟法24条により却下する。
実務上の射程
裁判官全員の忌避や、実体的根拠を欠く濫用的な忌避申立てに対し、裁判所が簡易却下(刑訴法24条)を行う際の論拠として機能する。司法試験においては、手続の濫用を制限する法理として短文で引用するのに適している。
事件番号: 昭和43(す)283 / 裁判年月日: 昭和44年1月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する上告棄却の決定に対する異議の申立てについて、その理由がない場合には、刑事訴訟法の規定に基づき棄却すべきである。 第1 事案の概要:詐欺被告事件において、昭和43年12月12日に最高裁判所がなした上告棄却の決定に対し、弁護人が異議の申立てを行った事案である。 第2 問題の所在(論点…
事件番号: 昭和44(す)53 / 裁判年月日: 昭和44年3月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした特別抗告を棄却する旨の決定に対し、さらに不服を申し立てることは法律上認められず、そのような申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件に関して最高裁判所が昭和44年2月25日に下した「特別抗告を棄却する旨の決定」に対し、さらに「特別抗告及び裁判官忌避申立書」と…
事件番号: 昭和24(ク)24 / 裁判年月日: 昭和24年8月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合を除いては、これをすることができない。特別抗告(民訴法419条の2、現行336条1項)は憲法の判断が不当であることを理由とする場合に限られ、それに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、下級裁判所の決…
事件番号: 昭和26(ク)143 / 裁判年月日: 昭和26年8月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる訴訟法違反の主張を憲法違反に名を借りて述べることは許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、立証準備のための公判期日続行申請が容れられなかったことが裁判官の忌避事由に当たると主張し、忌避申立却下決定に対する抗告を…
事件番号: 昭和52(す)64 / 裁判年月日: 昭和52年4月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所の審理手続に対する不服のみを理由とする忌避の申立ては、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかであるとして、刑訴法24条に基づき却下される。 第1 事案の概要:公務執行妨害被告事件の上告審において、申立人が担当裁判所である最高裁判所第三小法廷の裁判官全員を忌避する旨の申立てを行った。当該…