刑訴規則第二五四条の跳躍上告事件において、審判を迅速に終結せしめる必要上、被告人の選任すべき弁護人の数を制限したところ、その後公判期日および答弁書の提出期日がきまり、かつ弁護人が公判期日に弁論をする弁護人の数を自主的に○人以内に制限する旨申し出たため、審理を迅速に終結せしめる見込がついたときは、刑訴第三五条但書の特別の事情はなくなつたものと認めることができる。
刑訴法第三五条但書の特別の事情がなくなつたものと認められた事例。
判旨
刑事訴訟法35条但書に基づく弁護人の数に対する制限は、審理の迅速な終結を妨げるおそれがある等の特別の事情がある場合に認められるが、その事情が解消された場合には制限を解除すべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法35条但書に基づき一度なされた弁護人の数に対する制限について、審理の迅速な終結に目途が立った場合に、その制限を維持すべきか、あるいは「特別の事情」がなくなったとして解除すべきかが問題となる。
規範
刑事訴訟法35条但書は、特別の事情があるときに限り、弁護人の数を制限できる旨を定めている。この「特別の事情」の有無は、被告人の防御権の保障と訴訟の迅速・円滑な進行との比較衡量により判断されるが、審理の迅速な終結が見込まれる状況に至った場合には、当該制限を維持する根拠が失われる。
重要事実
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反事件(砂川事件)の上告審において、最高裁判所は当初、刑事訴訟法35条但書に基づき弁護人の数を制限する決定を行っていた。その後、公判期日が複数回にわたり指定され、弁護人が答弁書の提出期限を遵守し、かつ自主的に弁護人の数を25人以内に制限する旨を申し出た。
あてはめ
本件では、公判期日が集中的に指定されたことに加え、弁護側が答弁書の早期提出や弁護人数の自主的制限(25人以内)を申し出ている。これにより、審理を迅速に終結せしめる見込みがついたといえる。したがって、当初弁護人数を制限する根拠となっていた「特別の事情」は、現時点においては消滅したものと評価できる。
事件番号: 昭和37(あ)994 / 裁判年月日: 昭和38年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】日米安全保障条約のように、主権国としての存立の基礎に関わる高度の政治性を有する国家の行為は、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り、司法審査の範囲外となる。また、日本が指揮権を有しない外国軍隊の駐留は、憲法9条2項前段が禁止する「戦力」には該当しない。 第1 事案の概要:被告人らは、アメリカ合…
結論
本件の審理を迅速に終結せしめる見込みがついたため、刑事訴訟法35条但書の特別の事情がなくなったと認め、弁護人の数の制限を解く。
実務上の射程
弁護人依頼権(憲法37条3項)との兼ね合いから、刑事訴訟法35条による制限は必要最小限であるべきことを示唆する。実務上は、弁護団が極端に大規模になり訴訟進行に支障を来すような例外的な事案において、裁判所による訴訟指揮権の一環として同条の適用を検討する際の判断基準(事情変更による解除の可否)として活用できる。
事件番号: 昭和34(し)28 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした決定に対しては、刑事訴訟法上の特別抗告を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反被告事件において、最高裁判所が被告人らの弁護人の数を制限する決定を下した。これに対し、弁護人らが当該決定を不服…
事件番号: 昭和34(し)26 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした決定に対しては、刑事訴訟法上、特別抗告を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cに対する刑事特別法違反被告事件において、最高裁判所が昭和34年4月28日に被告人の弁護人の数を制限する決定を下した。これに対し、弁護人側が当該決定を不服として特別抗告を申し立てた…
事件番号: 昭和34(す)183 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判官が迅速な審判を目的として弁護人の数を制限したこと、又は不適法な特別抗告の申立てを棄却したことは、不公平な裁判をする虞がある事由には当たらない。また、裁判官が事件の進行について希望や意見を述べたとしても、直ちに予断を抱いているとは評価されない。 第1 事案の概要:跳躍上告(刑訴規則254条)に…
事件番号: 昭和34(す)198 / 裁判年月日: 昭和34年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした裁判官に対する忌避申立却下の決定に対し、法律上、異議申立てを許す規定は存在しないため、かかる申立ては不適法である。 第1 事案の概要:被告人Aら7名は、日米行政協定に伴う刑事特別法違反事件において、最高裁判所裁判官斎藤悠輔に対する忌避の申立てを行った。最高裁判所は昭和34年6月25…