戦時中の作戦から生じた爆発兵器類の処理は通常の国の事務とは性質を異にし、最高権限を有する連合国最高司令官の指令に基く管理法令下の特殊な業務であるから、国から右事務の委任を受けた知事は、たとえその委任につき地方自治法第一四八条第一項によらない瑕疵があつても、これを理由に受任を拒みうべき筋合にはなく、右委任により知事に対し有効にその処理の責任と権限が発生する。
戦時中の作戦から生じた爆発兵器類の処理に関し、地方自治法第一四八条に違反してなされた国の事務の機関委任の効力。
地方自治法148条1項,昭和20年9月2日連合国最高司令官指令1号,昭和20年9月3日連合国最高司令官指令2号,昭和25年2月6日SCAPIN2077号
判旨
公務員に対する贈収賄罪における職務権限の有無は、当該公務員の一般的職務権限に属するか否かによって判断され、具体的な事務の担当の有無を問わない。
問題の所在(論点)
刑法上の収賄罪における「職務」の範囲、すなわち職務権限の有無を判断する基準が問題となる。
規範
刑法197条1項前段にいう「職務」とは、公務員の一般的職務権限に属する事務を指す。必ずしも当該公務員が直接的に担当している事務である必要はなく、その職権に属し得る性質の事務であれば、職務権限が認められる。
重要事実
被告人Aら複数の公務員および関係者が贈収賄罪の疑いで起訴された。弁護人は、被告人Aや被告人B、Cらには当該事務に関する具体的な職務権限が存在せず、職務上の行為とはいえないため、収賄罪の成立要件を欠くと主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、原審(第一審・控訴審)が被告人Aや被告人B、Cらに職務権限があると認定した判断を正当とした。弁護側の主張は、実際には事実誤認や単なる法令違反を指摘するものに過ぎず、一般的職務権限の範囲内にある事務であれば、具体的な担当の有無を問わず職務権限が認められるとした原判決の判断を維持した。
結論
被告人らに職務権限があるとした原判決に誤りはなく、収賄罪が成立する。したがって、各上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、収賄罪における職務権限の概念を広く解釈する実務上の運用を確認したものである。司法試験においては、具体的権限がなくても一般的職務権限があれば足りるとする「職務密接関連性」や「一般的職務権限」の議論において、職務権限を肯定する根拠として引用される。事実認定のレベルでは、法律上の根拠だけでなく慣例に基づく権限も含まれ得ることに注意を要する。
事件番号: 昭和29(あ)2645 / 裁判年月日: 昭和32年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賄賂罪における公務員の「職務」とは、法令に定められた直接の職務権限だけでなく、それに関連し、または補助する事務をも含む広範な概念である。大蔵省等の組織規程に基づく事務分掌は、職務権限の有無を判断する重要な根拠となる。 第1 事案の概要:被告人Aは大蔵省(当時)の職員(北陸財務局勤務)であり、被告人…