一 町会議員でありかつ上水道特別委員である被告人が原判示(一)ないし(五)の各事務につき町長の諮問があつた際、その収集に応じて会合し、調査審議の上表決して町長の諮問に応じた行為は、地方自治法第一七四条所定の専門委員としては本来の職務に属し、町会議員としては本来の職務ではないが、慣例によるその職務と密接な関係のある行為であり、また原判示(六)の工事施行の際に随時工事監督の任に当つた行為は、右専門委員或は町会議員としての職務に密接な関係のある行為である。 二 (原判示の各事務)(一)上水道敷設工事を入札するか随意契約するのかの決定 三 (二)工事の時期その範囲等工事施行方の選定 四 (三)入札資格者の指名 五 (四)請負入札予定額の決定 六 (五)工事用資材の購入等についての協議決定 七 (六)工事施行に際し随時工事監督の任に当ること。
贈収賄罪における職務と密接な関係のある行為とされた事例。
刑法197条1項前段,地方自治法174条,地方自治法96条1項9号,地方自治法100条1項,地方自治法243条1項,地方自治法243条2項
判旨
賄賂罪における「職務」とは、公務員の法令上の権限に属する事務のみならず、これと密接な関係を有する事務も含まれる。
問題の所在(論点)
町会議員または専門委員という公務員の立場において、本来の職務権限には直接含まれない「慣例による諮問への対応」や「随時の工事監督」が、賄賂罪の構成要件である「職務」に含まれるか。
規範
賄賂罪(刑法197条等)にいう「職務」とは、公務員の一般的職務権限に属する事務のみならず、これと密接な関係を有する事務(密接関係業務)も含まれる。具体的には、法令上の職務ではないが、慣例により当該公務員が担当している事務や、本来の職務を遂行する上で当然に付随する事務がこれに該当する。
重要事実
町会議員である被告人は、地方自治法174条所定の専門委員を兼ねていた。被告人は、町長からの諮問に基づき、招集に応じて会合に出席し、調査審議の上で表決を行い、答申した(原判示(一)ないし(五))。また、特定の工事施行に際し、随時工事監督に従事した(原判示(六))。これらの行為に関して賄賂を授受したとして起訴された。
あてはめ
諮問に対する調査審議・表決・答申行為については、専門委員としては本来の職務に属する。また、町会議員としては本来の職務ではないものの、慣例によって行われてきたものであり、町会議員の職務と密接な関係がある行為といえる。さらに、随時の工事監督行為についても、専門委員または町会議員としての職務に密接な関係のある行為と認められる。したがって、これらはいずれも賄賂罪の「職務」に該当する。
結論
被告人の行為は賄賂罪の「職務」に関連するものと認められるため、有罪とした原判決は正当である。
実務上の射程
職務権限の有無が厳格に争われる事案において、法令上の根拠が乏しくとも「密接関係業務」として職務性を肯定する際のリーディングケースである。答案では、法令上の権限をまず検討し、それが否定される場合に「慣例」や「付随性」を理由に職務性を拡張する論理として用いる。
事件番号: 昭和34(あ)708 / 裁判年月日: 昭和36年12月20日 / 結論: 棄却
戦時中の作戦から生じた爆発兵器類の処理は通常の国の事務とは性質を異にし、最高権限を有する連合国最高司令官の指令に基く管理法令下の特殊な業務であるから、国から右事務の委任を受けた知事は、たとえその委任につき地方自治法第一四八条第一項によらない瑕疵があつても、これを理由に受任を拒みうべき筋合にはなく、右委任により知事に対し…