一 所論「やむを得ない場合」に関して原判決が支持した第一審判決の解釈は正当である。 二 (第一審判決の要旨)被告人並びに弁護人は被告人操縦の乗用自動車と同方向の北行車道上にはその前方に貨物自動車先行しその右側を追越さんと欲し警音器を鳴らすも避譲せずして進路を妨げ、しかも右斜前方には約五〇米を距てて南行車道内を南進し来る自動車があり、為めに貨物自動車の左側に出でて之を追越すの止む無きに立至りたるものなる旨陳弁するけれども……徒らに他の不法を非とし自己の進路啓開に急なるの余自己亦法の制禁を破ることは一般交通の安全を図り不測の危害発生を防止するを念とする道路交通取締法の精神に反するところなるが故に叙上被告人陳弁の事情は右側以外を以てする追越を認容する条件たる道路交通取締法施行令第二四条第一項所定の「止むを得ない場合」と云うことはできないから右陳弁は到底採用し難い。
道路交通取締法施行令第二四条所定の「止むを得ない場合」にあたらない事例
道路交通取締法7条,道路交通取締法施行令24条,道路交通取締法施行令72条2号
判旨
刑事訴訟法第321条第1項第2号後段に規定される「やむを得ない事由」の存否について、一審判決の解釈を正当として上告を棄却したものである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法第321条第1項第2号後段等の伝聞例外規定における「やむを得ない事由」の存否およびその解釈。
規範
「やむを得ない事由」の意義について、判決文からは直接的な一般論としての規範は示されていないが、一審判決が示した解釈を「正当である」と肯定し、具体的な事実関係に基づき個別判断を行う枠組みを支持している。
重要事実
被告人の刑事裁判において、供述者が公判準備または公判期日において供述することができない事態が生じた。これに関し、刑法および刑事訴訟法の規定に基づく「やむを得ない事由」の有無が争点となり、被告人側はこれが認められないとして上告した。
事件番号: 昭和31(あ)1791 / 裁判年月日: 昭和32年9月26日 / 結論: 棄却
表面は、司法巡査作成名義の交通違反現認報告書と題する書類で、道路交通取締法令違反の被疑者の氏名、住所、違反の概要を記載せるものの裏面に、不動文字をもつて「表記の通り違反を認む」と記載しあり末尾に日付、被告人の住所、氏名の自署および押印がなされているときは、該書類の裏面は、書面全体の形式から被告人の意思に基き被告人自ら作…
あてはめ
原判決が支持した第一審判決の解釈は、本件の具体的な事情(詳細は判決文からは不明)に照らして正当である。所論の訴訟法違反や事実誤認、量刑不当の主張はいずれも上告理由に当たらない。
結論
本件における「やむを得ない事由」に関する判断に誤りはなく、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決自体に詳細な規範は記されていないが、伝聞例外の要件解釈において下級審の判断を尊重する姿勢を示している。実務上は、供述不能事由の具体的内容を個別事情に応じて精査する際の根拠となる。
事件番号: 昭和35(あ)1203 / 裁判年月日: 昭和37年11月8日 / 結論: 棄却
所論は、違憲をいうが、当庁で記録の謄写が許されなかつたことに対し不服を申立てるに過ぎず、原判決に対する攻撃とは認められないから上告適法の理由に当らない。 註、上告論旨は、被告人(弁護人なし)は上告趣意書を作成するため記録の謄写を求めたが許されなかつた。公判調書の閲覧だけでは上告趣意書の作成は不可能である。弁護人には謄写…