表面は、司法巡査作成名義の交通違反現認報告書と題する書類で、道路交通取締法令違反の被疑者の氏名、住所、違反の概要を記載せるものの裏面に、不動文字をもつて「表記の通り違反を認む」と記載しあり末尾に日付、被告人の住所、氏名の自署および押印がなされているときは、該書類の裏面は、書面全体の形式から被告人の意思に基き被告人自ら作成したものと認められる限り、刑訴第三二二条第一項にいわゆる被告人作成の供述書に該当するものと認むべきである。
刑訴法第三二二条第一項にいわゆる被告人作成の供述書と認められる一事例
刑訴法322条1項
判旨
被告人の作成した書面が、その形式にかかわらず、被告人の意思に基づき自ら作成したものと認められる場合には、刑事訴訟法322条1項の「被告人が作成した供述書」に該当する。
問題の所在(論点)
特定の体裁をなさない報告書形式の書面が、刑事訴訟法322条1項にいう「被告人が作成した供述書」として証拠能力が認められるか。
規範
刑事訴訟法322条1項にいう「被告人が作成した供述書」とは、書面全体の形式から判断して、被告人の意思に基づき被告人自らが作成したものと認められる書面を指す。
重要事実
被告人が作成した特定の報告書について、その体裁や形式が一般的な供述書の体裁をなしていなかったものの、書面全体の形式から被告人の意思に基づいて自ら作成されたものであると認められる状況であった。
事件番号: 昭和32(あ)1602 / 裁判年月日: 昭和35年9月27日 / 結論: 棄却
一 所論「やむを得ない場合」に関して原判決が支持した第一審判決の解釈は正当である。 二 (第一審判決の要旨)被告人並びに弁護人は被告人操縦の乗用自動車と同方向の北行車道上にはその前方に貨物自動車先行しその右側を追越さんと欲し警音器を鳴らすも避譲せずして進路を妨げ、しかも右斜前方には約五〇米を距てて南行車道内を南進し来る…
あてはめ
本件報告書は、所論のような体裁(報告書形式)をとってはいるものの、書面全体の形式を考慮すれば、被告人の自由意思に基づき、被告人自身の手によって作成されたものと認められる。したがって、形式的な名称や体裁に拘泥せず、作成の実態に着目すれば、被告人自らが作成した供述書としての実質を備えているといえる。
結論
本件報告書は刑事訴訟法322条1項の被告人作成の供述書に該当し、証拠能力が認められる。
実務上の射程
伝聞例外における「供述書」の意義について、書面の題名や形式にとらわれず、作成の任意性と自己作成の実質により判断する枠組みを示したものである。答案上は、報告書や上申書等の形式をとる書面の伝聞該非および伝聞例外を論じる際、322条1項の該当性を基礎づける根拠として活用できる。
事件番号: 昭和41(あ)1802 / 裁判年月日: 昭和42年10月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】司法巡査作成の道路交通法違反現認報告書の記載は、被告人の自白を補強する証拠として認められる。 第1 事案の概要:被告人が道路交通法違反の罪に問われた事案において、司法巡査が当該違反事実を直接目撃し、その内容を「道路交通法違反現認報告書」として作成した。被告人は自白していたが、当該報告書以外に十分な…
事件番号: 昭和38(あ)842 / 裁判年月日: 昭和39年6月27日 / 結論: 棄却
略式命令請求書に司法警察職員作成の現認報告書の記載を引用することは相当ではないが、このために弁護人の弁護権が妨げられたと認めるべき証跡が全くない場合は所論訴訟法違反の主張は採用しがたい。