判旨
被告人が貧困であることを理由に訴訟費用の負担を命じることが憲法に違反するという主張は、実質的には単なる法令違反の主張にすぎず、特別抗告の理由とはならない。
問題の所在(論点)
刑事被告人に対し、経済的困窮にかかわらず訴訟費用の負担を命ずることが、憲法違反を理由とする特別抗告の適法な理由となり得るか。
規範
特別抗告において憲法違反を主張する場合であっても、その実質が単なる法令違反や事実誤認、あるいは不当な判断の主張に帰着するものは、憲法違反としての適法な抗告理由を構成しない。
重要事実
抗告人は、自身が貧困であるにもかかわらず訴訟費用を負担させることとした原決定を不服とし、それが憲法に違反するものであるとして最高裁判所に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
抗告人は、経済的困窮にもかかわらず訴訟費用を負担させる原決定が不当であるとして憲法違反を主張するが、これは実質的に裁判の不当を訴える単なる法令違反の主張にすぎない。したがって、憲法違反そのものを論じるものではなく、特別抗告の適法な理由には当たらないと解される。
結論
本件抗告は適法な抗告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法における訴訟費用の負担命(刑訴法181条1項等)の憲法適合性に関する実務上の判断を示す。具体的には、貧困による訴訟費用負担の免除をめぐる不服申立てにおいて、憲法違反のラベルを貼るだけでは不十分であり、実質的な憲法問題の提起が必要であることを示す。答案上は、特別抗告の理由の限定性を論じる際や、訴訟費用の負担に関する不服申立ての性質を説明する際に利用できる。
事件番号: 昭和30(し)31 / 裁判年月日: 昭和30年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条に規定する事由を欠き、単に原決定の不当を主張するにとどまる特別抗告は、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:抗告人Aは、自らなした再審請求を認容しなかった原決定を不服として最高裁判所に特別抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由は原決定を不当として非難するにとどまるものであっ…
事件番号: 昭和44(し)80 / 裁判年月日: 昭和44年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】簡易裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対しては、刑事訴訟法429条1項1号に基づき管轄地方裁判所へ準抗告をすべきであり、直接最高裁判所に対して特別抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:被告人が道路交通法違反被告事件において、簡易裁判所の裁判官に対して忌避の申立てを行った。簡易裁判所はこの…
事件番号: 昭和56(し)66 / 裁判年月日: 昭和56年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】即時抗告を棄却する決定に対して異議を申し立てることはできず、これに対する特別抗告は不適法である。また、特別抗告の提起期間は刑訴法433条2項に基づき、告知の日から5日以内と厳格に解される。 第1 事案の概要:申立人は、大阪地方裁判所になされた訴訟費用執行免除の申立てを却下する決定に対し、即時抗告を…
事件番号: 昭和29(す)145 / 裁判年月日: 昭和29年5月25日 / 結論: 棄却
申立人主張のような事由(訴訟費用負担の執行免除の申立を刑務官吏によつて妨げられた旨の主張)は、前記訴訟費用の負担を命ずる裁判について検察官のした執行に関する処分を不当とすべき根拠にはならないから、本件申立は理由がないものとして棄却すべきである。