判旨
簡易裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対しては、刑事訴訟法429条1項1号に基づき管轄地方裁判所へ準抗告をすべきであり、直接最高裁判所に対して特別抗告をすることはできない。
問題の所在(論点)
簡易裁判所が行った裁判官忌避申立却下決定に対し、刑事訴訟法433条1項に基づき直接最高裁判所へ特別抗告を申し立てることの可否(不服申立経路の適否)。
規範
裁判官の忌避申立を却下した簡易裁判所の決定に対しては、刑事訴訟法429条1項1号に基づき、管轄地方裁判所にその取消し又は変更を請求(準抗告)すべきである。したがって、他の不服申立手段が存在する場合には、同法433条1項に基づく特別抗告の要件を満たさない。
重要事実
被告人が道路交通法違反被告事件において、簡易裁判所の裁判官に対して忌避の申立てを行った。簡易裁判所はこの忌避申立てを却下する決定を下したが、申立人はこの決定に対し、準抗告の手続きを経ることなく、直接最高裁判所に対して抗告(特別抗告)の申立てを行った。
あてはめ
刑事訴訟法429条1項1号は、裁判官が忌避の申立てについてした決定に対し、その裁判官が所属する裁判所の管轄地方裁判所に取消し等を請求できる旨を定めている。本件の簡易裁判所による決定は同号に該当する。しかるに、申立人はこの適法な救済手段を採らずに、不服を申し立てることができない決定等に対して例外的に認められる同法433条1項の特別抗告を行った。この場合、前述の準抗告という不服申立手段が存在するため、特別抗告の要件を欠くこととなる。
結論
最高裁判所に対する抗告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和26(ク)10 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合する…
刑事手続における裁判官の決定に対する不服申立構造を明確にする判例である。答案上は、特別抗告(433条)が「不服を申し立てることができない決定」を対象とする補充的な手段であることを論じる際、準抗告(429条)等の他の救済手段の有無を確認する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(ク)143 / 裁判年月日: 昭和26年8月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる訴訟法違反の主張を憲法違反に名を借りて述べることは許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、立証準備のための公判期日続行申請が容れられなかったことが裁判官の忌避事由に当たると主張し、忌避申立却下決定に対する抗告を…
事件番号: 昭和44(し)76 / 裁判年月日: 昭和44年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の提起期間内に抗告申立書が最高裁判所に差し出されたとしても、期間内に原裁判所へ到達しない限り、不適法な申立てとなる。 第1 事案の概要:申立人は、昭和44年10月23日に原決定の送達を受けた。特別抗告の提起期間は同月28日までであった。申立人は、期限内である同月28日に最高裁判所へ特別抗告…
事件番号: 昭和62(し)72 / 裁判年月日: 昭和62年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】決定謄本が被告人と弁護人の双方に送達された場合、抗告申立期間は、被告人に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:被告人および弁護人に対し、原決定の謄本が送達された。具体的には、被告人に対しては昭和62年6月25日に、弁護人に対しては同年6月26日にそれぞれ送達が完了した。これに対…
事件番号: 昭和25(ク)134 / 裁判年月日: 昭和26年10月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、法律により特に許された場合に限り認められ、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする場合に限定される。実質的な憲法違反の主張を伴わない抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対し、原決定を不服として抗告を申し立てた。抗告理由は、書面上は…