上訴審において訴訟費用の裁判を是正すべき場合は、単に本案の裁判に対し上訴の申立があつただけでは足りず、その上訴が適法でありかつ理由があり、本案についても下級審の判決が取消される場合にかぎるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであり―昭和三〇年(あ)第二九五五号同三一年一二月一三日第一小法廷判決参照―所論控訴費用負担に対する不服の論旨は採るを得ない。
控訴費用の裁判に対する不服申立。
刑訴法181条,刑訴法185条
判旨
上訴審において訴訟費用の裁判を是正できるのは、上訴が適法かつ理由があり、本案についても原判決が取り消される場合に限られる。
問題の所在(論点)
上訴審において、下級審が命じた訴訟費用の負担に関する裁判を是正・変更することができるための要件が問題となる(刑訴法181条、405条等)。
規範
上訴審において訴訟費用の裁判を是正するためには、単に本案の裁判に対して上訴の申立てがなされただけでは足りない。当該上訴が適法であり、かつ理由があることによって、本案についても下級審の判決が取り消される場合であることを要する。
重要事実
被告人が、下級審(控訴審)の判決に対し、訴訟費用の負担に関する不服(控訴費用負担の不当)を含めて上告を申し立てた事案。なお、上告理由自体は事実誤認および単なる法令違反を主張するものであった。
あてはめ
本件において、被告人の上告趣意は事実誤認および単なる法令違反の主張にとどまり、刑訴法405条所定の上告理由に当たらない。したがって、上告自体に適法な理由がなく、本案について原判決を取り消すべき場合に該当しない。ゆえに、控訴費用の負担に関する不服の論旨を検討し、是正することはできない。
結論
本件上告を棄却する。上告に理由がなく本案の原判決が維持される以上、訴訟費用の裁判を是正することはできない。
実務上の射程
訴訟費用の裁判のみを不服として上訴することはできない(刑訴法359条等参照)という原則を前提に、本案の附随裁判として是正を求める場合でも、本案判決自体の破棄・取消しが導かれない限り、費用の裁判のみを切り離して是正することはできないという限界を示したものである。
事件番号: 昭和39(あ)10 / 裁判年月日: 昭和39年8月28日 / 結論: 破棄自判
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