主張判断を経ていないとされた事例
判旨
原審において主張及び判断を経ていない事項に関する憲法違反の主張や、単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
原審において主張・判断を経ていない憲法違反の主張や、量刑不当の主張が、刑事訴訟法405条の上告理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法405条各号に規定される上告理由(憲法違反、憲法解釈の誤り、最高裁判例との相反等)に該当しない主張、すなわち原審での主張・判断を経ていない事項に関する不服や単なる量刑不当の主張は、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人の弁護人は、原審(二審)において一度も主張されず、かつ原審の判断も受けていない事項について、憲法39条(一事不再理・遡及処罰の禁止)および14条(法の下の平等)に違反する旨の主張を行った。併せて、原判決の量刑が不当である旨を主張して上告を申し立てた。
あてはめ
弁護人が主張する憲法違反の点は、原審において全く主張・判断されていない事項である。また、量刑不当の主張は同法405条が限定的に掲げる上告理由のいずれにも該当しない。したがって、これらの主張は同条所定の上告理由としての適格を欠いているといえる。
結論
本件上告は刑事訴訟法405条の上告理由にあたらないため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上告審の事後審的性格を確認するものである。答案上では、上告理由の限定性(405条)や、原審で主張していない憲法違反を上告審で初めて主張することの不可性を論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和44(あ)2473 / 裁判年月日: 昭和45年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が実質的に事実誤認の主張にすぎない場合や、憲法違反を主張しながら具体的な憲法条項への抵触を示さない場合は、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が、原判決に対して憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、被告人の主張は実質的には事実誤認を訴える…
事件番号: 昭和49(あ)479 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審において主張及び判断を経ていない事項に関する憲法違反の主張や、原審の認定に沿わない事実関係を前提とする判例違反の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して上告を申し立てた。その上告趣意において、第一に、原審では主張も判断もされていなかった事項…
事件番号: 昭和48(あ)2535 / 裁判年月日: 昭和49年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審において主張および判断を経ていない事項に関する憲法違反の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由にあたらない。 第1 事案の概要:被告人側の弁護人が、憲法38条(黙秘権・自白の強要禁止)違反を理由として上告を申し立てたが、当該事項は第一審および控訴審(原審)の審理過程において一度も主張されてお…