大赦令(平成元年政令第二七号)一条の違憲主張が原判決に対する論難でないとされた事例
大赦令(平成元年政令27号)1条
判旨
上告理由として実質的に量刑不当を主張するものや、原判決に対する論難ではない憲法違反の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
弁護人が主張する「実質的な量刑不当」および「原判決に対する論難ではない法令の違憲主張」が、刑事訴訟法405条の上告理由に該当するか。
規範
刑事訴訟法405条所定の上告理由(憲法違反、憲法解釈の誤り、判例相反)に該当しない主張は、適法な上告理由とは認められない。特に、実質的に量刑不当を主張するものや、原判決そのものの判断を対象としない抽象的な法令の違憲主張は排除される。
重要事実
被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。弁護人は、第一点として憲法違反を主張したが、その実態は量刑が不当であるという主張であった。また、第二点として平成元年政令第27号(大赦令)1条の違憲を主張したが、これは原判決の判断内容に対する具体的な論難ではなかった。
あてはめ
弁護人の第一点は、形式的には憲法違反を掲げているものの、その実質は量刑の不当を訴えるものである。量刑不当は同条所定の上告理由に含まれない。また、第二点の大赦令に関する違憲主張は、原判決の判断プロセスや結論に対する直接的な反論ではなく、原判決の当否を争う性質を欠いている。したがって、いずれの主張も適法な上告理由としての実質を備えていないといえる。
結論
本件上告は刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないため、同法414条、386条1項3号により棄却される。
実務上の射程
司法試験の刑事訴訟法において、上告審の構造や上告理由の限定性を論じる際の補強材料となる。憲法違反を名目にしつつ実質的に量刑不当を争う主張や、原判決と無関係な違憲主張を排除する実務上の運用を確認する際に用いる。
事件番号: 昭和44(あ)2473 / 裁判年月日: 昭和45年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が実質的に事実誤認の主張にすぎない場合や、憲法違反を主張しながら具体的な憲法条項への抵触を示さない場合は、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が、原判決に対して憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、被告人の主張は実質的には事実誤認を訴える…