判旨
単一の犯意に基づかない数個の犯罪については、一罪(包括一罪等)として扱われることはなく、併合罪等の数罪として処断される。
問題の所在(論点)
数個の犯罪行為について、単一の犯意が認められない場合に、これらを一罪として扱うべきか、それとも別罪として処断すべきか。
規範
複数の行為が単一の犯意(単一の包括的な意思)に基づいて行われたか否かにより、罪数関係を判断する。単一の犯意が認められない場合には、各行為は独立した犯罪として数罪の関係に立つ。
重要事実
被告人が複数の犯罪行為に及んだ事案において、弁護人はこれらが単一の犯意に基づいたものであると主張し、罪数判断における判例違反を理由に上告を申し立てた。しかし、原判決では当該各犯罪が単一の犯意に基づいてなされた事実は認定されていなかった。
あてはめ
本件において、原判決は各犯罪を単一の犯意に基づいてなされたものとは認定していない。したがって、弁護人が主張する「単一の犯意に基づく一罪」という前提自体が事実関係と合致しない。事実認定に反する前提での判例違反の主張は、刑訴法405条の上告理由には当たらないと解される。
結論
本件各犯罪は単一の犯意に基づくものとはいえないため、数罪として処断した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
罪数論における「包括一罪」や「接続犯」の成否を検討する際、主観的要件として「犯意の単一性・連続性」が重要であることを示す。答案上では、犯行態様等の客観的事実から単一の犯意を推認できない限り、安易に一罪とすべきではないとする判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)1181 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が判例違反を主張するものであっても、原審で主張・判断されなかった事項に関する場合や適切でない判例を援用する場合には、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人両名が上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意第1点および第2点は、判例違反を理由とするものであったが、その内容は…