選挙人の買収を依頼されてその費用の供与を受けた罪と、右依頼に基いて選挙人に対し投票の報酬として金員を供与した罪とは索連犯の関係に立つものではない。
公職選挙法第二一一条にいわゆる受供与の罪と供与の罪との関係
刑法54条1項後段,公職選挙法221条1項1号,公職選挙法221条1項4号
判旨
刑法54条1項後段の「犯罪の手段」とは、ある犯罪の性質上その手段として普通に用いられる行為を指し、「犯罪の結果」とは、ある犯罪から生ずる当然の結果を指す。現実の犯行においてたまたま手段・結果の関係にあったに過ぎない場合は、牽連犯には当たらない。
問題の所在(論点)
刑法54条1項後段に規定される牽連犯(「犯罪の手段又は結果である行為」)の判断基準について、現実の具体的犯行における主観的・偶発的な関係で足りるのか、それとも犯罪の性質に由来する客観的な関係を要するのかが問題となる。
規範
刑法54条1項後段にいう「犯罪の手段」とは、ある犯罪の性質上、その手段として普通に用いられる行為をいう。また、同条にいう「犯罪の結果」とは、ある犯罪より生ずる当然の結果を指すと解すべきである。したがって、単に被告人が現実に犯した罪がたまたま手段・結果の関係にあったというだけでは、同条の「手段又は結果」の関係にあるとはいえない。
重要事実
被告人が第一審判決において判示された第一の所為(具体的な罪名は判決文からは不明)と第二の所為を犯した事案において、弁護人は、これら二つの行為が手段・結果の関係にあるため、刑法54条1項後段の牽連犯として処断されるべきであると主張した。しかし、原判決はこれらを併合罪(刑法45条)として処理していた。
あてはめ
本件において、被告人が現実に犯した第一の所為と第二の所為が、仮に現実の犯行過程においてたまたま一方が他方の手段となっていたとしても、それは個別の事案における事実上の関係に過ぎない。ある犯罪の性質上、普通にその手段として用いられる関係や、当然に生ずる結果といえる関係が認められない限り、牽連犯の法的性質を満たしているとは評価できない。
結論
本件の二罪は併合罪となり、刑法54条1項後段の牽連犯には当たらない。したがって、併合罪として処断した原判決に法の解釈を誤った違法はない。
実務上の射程
罪数論において、牽連犯の成立要件である「手段・結果」の関係を、客観的・典型的な関係に限定する「客観説(典型的連結説)」を明示したものである。答案作成上は、住居侵入と窃盗・強盗のように、実務・判例上定着している典型的な組み合わせ以外では、安易に牽連犯とせず、併合罪として処理する際の判断枠組みとして活用する。
事件番号: 昭和30(あ)48 / 裁判年月日: 昭和30年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単一の犯意に基づかない数個の犯罪については、一罪(包括一罪等)として扱われることはなく、併合罪等の数罪として処断される。 第1 事案の概要:被告人が複数の犯罪行為に及んだ事案において、弁護人はこれらが単一の犯意に基づいたものであると主張し、罪数判断における判例違反を理由に上告を申し立てた。しかし、…