判旨
旧刑事訴訟法下において高等裁判所がなした決定に対しては、訴訟法上特に最高裁判所の権限に属すると定められた抗告のみが許され、同法564条後段に基づく最高裁判所への即時抗告は認められない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法564条前段に基づく高等裁判所の決定に対し、同条後段により最高裁判所へ即時抗告をすることの可否、および刑事訴訟応急措置法18条による抗告の成否が問題となった。
規範
高等裁判所の決定に対する不服申立ては、裁判所法7条2号に基づき、刑事訴訟応急措置法18条等の特別の規定により最高裁判所の権限に属するものと定められた場合に限り許容される。旧刑事訴訟法564条後段の規定を根拠とする最高裁判所への直接の即時抗告を認める余地はない。
重要事実
本件は、旧刑事訴訟法564条前段に基づき高等裁判所がなした決定に対し、抗告人が同条後段を根拠として最高裁判所に即時抗告を申し立てた事案である。なお、抗告理由において憲法違反の判断の不当性を主張する内容は含まれていなかった。
あてはめ
まず、高等裁判所の決定に対する抗告は、訴訟法上特に最高裁判所の権限と規定されたものに限られるところ、旧刑事訴訟法564条後段はこれに該当しないため、不適法である。次に、刑事訴訟応急措置法18条の抗告と解する余地を検討しても、抗告申立書によれば原決定における憲法適合性の判断の不当を争うものではない。したがって、同法が定める最高裁判所の管轄事項にも該当しないといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
刑事訴訟手続の過渡期における上訴権の範囲を画した判例である。現行法下では、高等裁判所の決定に対する不服申立ては、刑事訴訟法405条(跳躍上告)の準用や特別抗告(433条)の枠組みで整理されるべきであり、上訴権の根拠条文を厳格に特定する必要性を示唆している。
事件番号: 昭和24(ク)20 / 裁判年月日: 昭和24年5月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告申立ては、訴訟法が特別に定めた場合を除き、憲法上の判断が不当であることを理由とする場合に限って認められる。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの裁判(詳細は判決文からは不明)に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、当該抗告状の記載によれば、原決定における憲法上の判断の不…
事件番号: 昭和39(し)68 / 裁判年月日: 昭和40年2月9日 / 結論: 棄却
簡易裁判所がした、裁判の執行の異議申立を却下する決定に対し、特別抗告の申立があつても、右決定に対しては刑訴法第五〇四条により即時抗告をすることができるのであるから、直接最高裁判所に対しなされた右特別抗告は、刑訴法第四三三条第一項の要件を具えない不適法なものである。
事件番号: 昭和23(ク)11 / 裁判年月日: 昭和23年5月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた場合に限り、適法に申し立てることができる。 第1 事案の概要:抗告人が、特定の訴訟手続に関して最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件は、日本国憲法施行に伴う民事・刑事訴訟法の応急的措置法等により、特に最高裁判…
事件番号: 昭和24(ク)11 / 裁判年月日: 昭和24年3月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に定めた場合、すなわち原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限り許容される。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対して本件抗告を申し立てた。しかし、提出された抗告申立書及び抗告理由書の内容を検討したところ、原決定に憲法判断の不当があることを理由とす…
事件番号: 昭和23(ク)40 / 裁判年月日: 昭和24年2月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に定めた場合を除き、憲法判断の不当を理由とする場合に限って許容される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告申立書の内容からは、原決定における憲法判断の不当を理由とする特別抗告の要件を満たしていることが認められず、他に最高裁判所…