判旨
上訴権回復請求を棄却した決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。
問題の所在(論点)
上訴権回復請求の棄却決定に対し、刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告を行うことができるか。当該決定が「この法律により不服を申し立てることができない決定」に該当するかどうかが問題となる。
規範
刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告は、「この法律により不服を申し立てることができない決定」に対してのみ認められる。ここでいう不服を申し立てることができない決定とは、同法419条の即時抗告その他の抗告方法が認められていない決定を指す。上訴権回復請求の決定に対しては即時抗告の規定が存在するため、特別抗告の要件を満たさない。
重要事実
抗告人は、名古屋高等裁判所が昭和29年5月21日に行った上訴権回復請求を棄却する決定に対し、最高裁判所に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法364条によれば、上訴権回復請求の決定に対しては、即時抗告をすることができる旨が定められている。したがって、名古屋高等裁判所の決定は、同法において別途不服申立ての手段(即時抗告)が認められている決定である。このため、同法433条1項が特別抗告の対象として限定する「不服を申し立てることができない決定」にはあたらないと解される。
結論
本件特別抗告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
裁判所がなした決定に対して直接特別抗告を申し立てる際は、刑事訴訟法433条の要件(不服申立手段の欠如)を厳格に検討する必要がある。実務上は、即時抗告等の通常抗告が可能な決定については、まずそれらを経る必要があり、直接の特別抗告は認められないことを示す一例となる。
事件番号: 昭和29(し)26 / 裁判年月日: 昭和29年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がした保釈却下の決定は、刑訴法428条に基づき異議の申立てが可能であるため、同法433条1項の「不服を申し立てることができない決定」には当たらず、直接の特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:被告人(抗告人)に対し、高等裁判所が保釈却下の決定を行った。これに対し、被告人が直接、最高裁…
事件番号: 昭和27(し)76 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がした上告申立棄却決定や裁判の執行に関する異議申立却下決定に対しては、当該高等裁判所に異議の申立てをすることが認められているため、最高裁判所への特別抗告をすることは許されない。 第1 事案の概要:被告人が高等裁判所に対して行った上告の申立てに対し、当該高等裁判所は、期間経過後であるとして…
事件番号: 昭和28(き)8 / 裁判年月日: 昭和28年11月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定は、証拠に基づいた実体判決ではないため、刑事訴訟法436条に定める再審事由を適用して再審を請求することはできない。 第1 事案の概要:請求人は、適法な上告理由に当たらないとして上告を棄却した確定決定に対し、再審を請求した。請求の具体的な理由は不明であるが、刑事訴訟法436条所定の再審…
事件番号: 昭和29(き)6 / 裁判年月日: 昭和29年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定に対して更に上告を申し立てることは許されず、また当該決定に対して再審の請求をすることも認められない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所によってなされた上告棄却の決定に対し、さらに不服を申し立てるべく「上告」を申し立てた。また、当該申立てには再審の請求としての性質も含まれ得ると解…
事件番号: 昭和29(き)5 / 裁判年月日: 昭和29年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法上、再審の対象は「確定判決」に限定されており、上告を棄却した「確定決定」に対する再審請求は認められない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が昭和29年3月10日にした上告棄却決定に対し、再審の申立てを行った。なお、本件の基礎となる具体的な事案内容については判決文からは不明である。 …