判旨
高等裁判所がした上告申立棄却決定や裁判の執行に関する異議申立却下決定に対しては、当該高等裁判所に異議の申立てをすることが認められているため、最高裁判所への特別抗告をすることは許されない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が刑訴法414条・375条に基づき行う上告申立棄却決定、または刑訴法502条等に基づき行う裁判の執行に関する異議申立に対する決定に対し、最高裁判所への特別抗告(刑訴法433条1項)を申し立てることは可能か。
規範
刑訴法433条1項に基づく最高裁判所への特別抗告は、不服申立ての方法が他にない裁判に対してのみ認められる補充的な救済手段である。したがって、高等裁判所がした決定であっても、刑訴法428条2項により同一裁判所への異議申立て(準抗告的異議)が認められている場合には、特別抗告を提起することはできない。
重要事実
被告人が高等裁判所に対して行った上告の申立てに対し、当該高等裁判所は、期間経過後であるとして刑訴法414条・375条に基づき上告申立棄却決定を行った。また、裁判の執行に関する異議の申立てに対しても却下決定がなされた。これに対し、被告人は最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。
あてはめ
刑訴法428条2項は、高等裁判所がした決定のうち、抗告をすることができないものについて、その高等裁判所に異議の申立てをすることを認めている。本件の上告申立棄却決定および裁判の執行に関する異議申立却下決定は、いずれも同条項の異議申立ての対象となる。このように別途不服申立手段が用意されている以上、最高裁判所へ直接不服を申し立てる特別抗告の要件を欠くといえる。また、上告の申立て自体が期間経過後であることは記録上明白であり、憲法違反の主張も理由がない。
結論
本件各特別抗告は、他に不服申立手段がある決定に対してなされたものであり、不適法なものとして棄却される。
事件番号: 昭和28(す)536 / 裁判年月日: 昭和28年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がなした上告棄却の決定に対しては、抗告をすることが許されないだけでなく、これに代わる異議の申立てをすることも許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がなした上告棄却の決定(刑訴法414条、386条2項)に対し、不服として異議の申立てを行った。なお、具体的な事案の内容については…
実務上の射程
高等裁判所の決定に対する不服申立構造を整理する際の基本判例である。高裁の決定に対しては、まず刑訴法428条2項の異議申立ての可否を検討すべきであり、同条の対象となる決定に直接特別抗告を行うことは不適法となる。実務上、上告申立棄却決定への不服は高裁への異議申立てで行う必要がある。
事件番号: 昭和29(き)6 / 裁判年月日: 昭和29年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定に対して更に上告を申し立てることは許されず、また当該決定に対して再審の請求をすることも認められない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所によってなされた上告棄却の決定に対し、さらに不服を申し立てるべく「上告」を申し立てた。また、当該申立てには再審の請求としての性質も含まれ得ると解…
事件番号: 昭和29(し)28 / 裁判年月日: 昭和29年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上訴権回復請求を棄却した決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:抗告人は、名古屋高等裁判所が昭和29年5月21日に行った上訴権回復請求を棄却する決定に対し、最高裁判所に特別抗告を申し立てた…
事件番号: 昭和29(し)51 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却の決定に対し、刑事訴訟法428条2項に基づく異議の申立てを経ることなく直接特別抗告を申し立てることは、同法433条により許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、強盗致死被告事件の確定判決(福岡高等裁判所)に対し再審請求を行った。これに対し、福岡高等裁判所が再審請求を…
事件番号: 昭和29(し)2 / 裁判年月日: 昭和29年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、刑事訴訟法433条のように特別の規定がある場合に限り許されるものであり、単なる訴訟法違反を理由とする抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定(控訴棄却決定と推認される)に訴訟法違反があるとして、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。なお、本件に関連して刑事訴…