判旨
勾留が不当に長いか否かは、事件の性質、審理の進行状況等、種々の事情を総合的に考慮して判断されるべきである。原審が保釈許可決定を取り消した判断に憲法違反の事由は認められない。
問題の所在(論点)
保釈の要否判断において、勾留期間の長さが不当か否かをいかなる基準で判断すべきか、また長期間の勾留が直ちに憲法違反となるか。
規範
勾留の期間が不当に長いか否かは、当該事件の性質、審理の進行状況、その他諸般の事情を総合的に考慮して決せられるべきである。
重要事実
第一審(名古屋地裁)が被告人らに対して保釈許可決定をしたが、原審がこれを失当として取り消した。これに対し、被告人側は勾留が不当に長期間に及んでいること等を理由に、保釈を認めないことは憲法11条、12条(基本的人権の尊重・保障)や38条2項(拷問・強制的自白の禁止関連)に違反し、また適正な手続を欠くなどとして特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件における勾留が不当に長いかという点は、事件の具体的性質や審理がどのように進捗しているかといった諸事情に照らして判断されるべき事柄である。本件の記録上の事情を勘案すると、原決定が保釈を認めず勾留を継続させた判断に誤りがあるとは認められず、被告人らが主張するような憲法違反の前提を欠いている。
結論
本件の勾留は不当に長いとはいえず、保釈を許可しなかった原決定に憲法違反の事由はないため、本件特別抗告を棄却する。
実務上の射程
勾留の必要性や保釈の判断において、期間の長短は相対的に決せられるべきとする実務上の準則を確認したものである。刑事訴訟法上の「不当に長い勾留」による拘禁の解除(刑訴法91条等)を検討する際の判断枠組みとして、事件の複雑性や審理状況を考慮する根拠となる。
事件番号: 昭和46(し)33 / 裁判年月日: 昭和46年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求の却下に対する不服申立てにおいて、勾留期間が不当に長いか否かは、事案の性質、審理の経過等の諸事情を総合して判断される。本件では、事案と経過に照らし、憲法38条2項等に違反するような不当に長い勾留とは認められず、保釈請求却下の判断は正当である。 第1 事案の概要:被告人が保釈を請求したが却下…
事件番号: 昭和29(し)32 / 裁判年月日: 昭和29年7月7日 / 結論: 棄却
保釈を許す決定に対する抗告事件において、抗告裁判所は、原決定が違法であるかどうかにとどまらず、それが不当であるかどうかをも審査し得るものである。
事件番号: 昭和25(し)39 / 裁判年月日: 昭和25年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈却下の理由として被告人が犯意を否認している点を挙げることは、直ちに自己に不利益な供述を強要するものとは認められず、憲法38条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人Aは詐欺被告事件において終始犯意を否認していた。裁判所は、被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとして保釈請求を…
事件番号: 昭和49(し)40 / 裁判年月日: 昭和49年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条違反の主張が、原裁判所による記録精査の欠如という事実を前提とする場合、その前提事実が認められない限りは適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、原裁判所が記録を精査することなく異議申立てを棄却したと主張し、これを前提として憲法37条違反を訴え、本件抗告に至った。しかし、…
事件番号: 昭和28(し)31 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新制限規定の適用有無に関する憲法違反の主張は、実質的に単なる法令違反の主張にすぎず、特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、禁錮以上の刑に処する判決があった後の勾留につき、刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新の制限規定(※旧法下における更新回数制限等…