判旨
保釈請求の却下に対する不服申立てにおいて、勾留期間が不当に長いか否かは、事案の性質、審理の経過等の諸事情を総合して判断される。本件では、事案と経過に照らし、憲法38条2項等に違反するような不当に長い勾留とは認められず、保釈請求却下の判断は正当である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の保釈請求を却下する判断において、勾留期間の長さが憲法および法令に照らして不当といえるか、また、それが憲法38条2項違反等の違憲事由を構成するか。
規範
勾留期間が不当に長いか否かの判断においては、当該事案の内容(複雑性、重大性等)および手続の進行状況(審理の経過)に照らし、身体拘束の継続が合理的な範囲内にあるか否かを総合的に考慮する。これが憲法上の許容限度を超える場合には、保釈を却下した判断は違憲または違法となる。
重要事実
被告人が保釈を請求したが却下され、その抗告棄却決定に対してさらに特別抗告を行った事案。抗告人は、本件の勾留期間が不当に長く、憲法38条2項(拷問・強要等による自白の禁止)に違反する旨等を主張した。具体的な事案の内容や正確な勾留日数については、本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、本件の事案の内容およびこれまでの審理の経過を検討した。その結果、被告人の主張するような「勾留が不当に長い」事実は認められないと判断した。したがって、憲法38条2項違反の前提となる「不当に長い勾留」が存在しない以上、実質的には単なる法令違反(保釈請求却下の相当性)を主張するものにとどまるとされた。
結論
本件勾留は不当に長いとは認められないため、保釈請求を却下した原決定に憲法違反等の事由はなく、特別抗告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和46(し)22 / 裁判年月日: 昭和46年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の必要性判断において罪証隠滅のおそれがあるとする原決定の認定は適法であり、実質的な事実誤認や法令違反の主張は特別抗告の理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が勾留決定に対し抗告したところ、原審(高等裁判所)は「罪証隠滅のおそれ」があるとしてこれを支持した。これに対し被告人が、憲法31条(…
身体拘束が長期化しているケースでの保釈請求において、被告人側が「不当な長期勾留」を主張する際の判断基準を示している。答案上は、刑訴法91条の勾留取消しや89条等の保釈判断における『不当な拘束』の有無を検討する際に、事案の性質と経過を相関的に考慮する判断枠組みとして参照できる。
事件番号: 昭和49(し)40 / 裁判年月日: 昭和49年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条違反の主張が、原裁判所による記録精査の欠如という事実を前提とする場合、その前提事実が認められない限りは適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、原裁判所が記録を精査することなく異議申立てを棄却したと主張し、これを前提として憲法37条違反を訴え、本件抗告に至った。しかし、…
事件番号: 昭和29(し)1 / 裁判年月日: 昭和29年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留が不当に長いか否かは、事件の性質、審理の進行状況等、種々の事情を総合的に考慮して判断されるべきである。原審が保釈許可決定を取り消した判断に憲法違反の事由は認められない。 第1 事案の概要:第一審(名古屋地裁)が被告人らに対して保釈許可決定をしたが、原審がこれを失当として取り消した。これに対し、…
事件番号: 昭和28(し)31 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新制限規定の適用有無に関する憲法違反の主張は、実質的に単なる法令違反の主張にすぎず、特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、禁錮以上の刑に処する判決があった後の勾留につき、刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新の制限規定(※旧法下における更新回数制限等…
事件番号: 昭和31(し)64 / 裁判年月日: 昭和31年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実刑判決の言渡しを受けた被告人については、格別の理由がない限り、逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるものと認められ、権利保釈の除外事由(刑訴法89条3号)に該当する。 第1 事案の概要:被告人は、東京高等裁判所において懲役7年の実刑に処する旨の判決言渡しを受けた。その後、被告人は保釈請求を行った…