判旨
刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新制限規定の適用有無に関する憲法違反の主張は、実質的に単なる法令違反の主張にすぎず、特別抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
禁錮以上の刑の言渡しがあった後の勾留更新制限規定(刑訴法60条2項但書)の解釈を争い、憲法31条違反を主張することが、刑訴法433条・405条所定の特別抗告理由に該当するか。
規範
刑事訴訟法433条および405条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合であっても、その実質が単なる訴訟手続の法令違反を主張するものであるときは、適法な抗告理由とは認められない。
重要事実
申立人は、禁錮以上の刑に処する判決があった後の勾留につき、刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新の制限規定(※旧法下における更新回数制限等)の適用を巡り、憲法31条違反を理由として特別抗告を申し立てた。しかし、原決定自体はこの点に関する解釈上の判断を何ら示していなかった。
あてはめ
申立人は憲法31条違反を主張しているものの、その内容は勾留更新制限に関する法令の解釈・適用に過ぎず、実質的には単なる訴訟手続の法令違反を主張するものといえる。また、原決定がそもそも当該規定の適用の有無について判断を示していない以上、その解釈を争う論旨は不当であると解される。
結論
本件抗告は適法な抗告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
特別抗告において憲法違反を形式的に主張しても、その実質が法令解釈の是非を争うものである場合は門前払いされるという実務上の運用を示す。答案上は、特別抗告の限定的な性格や、憲法問題を実質的に含むか否かの判定基準として参照し得る。
事件番号: 昭和28(し)30 / 裁判年月日: 昭和28年7月31日 / 結論: 棄却
前審判決により禁錮以上の刑の宣告を受けた勾留中の被告人に対しては、刑訴六〇条一項一号乃至三号に当る事由が存続し同三四三条の趣旨に従い勾留を継続する必要があると認められる限り勾留期間を更新することができるものと解するを相当とする。されば原決定が、被告人は当該事件の第一審裁判所で懲役一年の言渡を受けて勾留中のものであり、な…
事件番号: 昭和46(し)22 / 裁判年月日: 昭和46年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の必要性判断において罪証隠滅のおそれがあるとする原決定の認定は適法であり、実質的な事実誤認や法令違反の主張は特別抗告の理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が勾留決定に対し抗告したところ、原審(高等裁判所)は「罪証隠滅のおそれ」があるとしてこれを支持した。これに対し被告人が、憲法31条(…
事件番号: 昭和49(し)40 / 裁判年月日: 昭和49年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条違反の主張が、原裁判所による記録精査の欠如という事実を前提とする場合、その前提事実が認められない限りは適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、原裁判所が記録を精査することなく異議申立てを棄却したと主張し、これを前提として憲法37条違反を訴え、本件抗告に至った。しかし、…
事件番号: 昭和31(し)39 / 裁判年月日: 昭和31年9月26日 / 結論: 棄却
所論は違憲をいうが、実質は原審が適法に認定した本件被告人に逃亡する疑なしとは認められないとする事実認定を争うに帰し、前提において採用できない。
事件番号: 昭和46(し)33 / 裁判年月日: 昭和46年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求の却下に対する不服申立てにおいて、勾留期間が不当に長いか否かは、事案の性質、審理の経過等の諸事情を総合して判断される。本件では、事案と経過に照らし、憲法38条2項等に違反するような不当に長い勾留とは認められず、保釈請求却下の判断は正当である。 第1 事案の概要:被告人が保釈を請求したが却下…