判旨
公職選挙法違反の罪は、刑事訴訟法289条1項に規定する「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」には該当せず、必要的弁護事件ではない。したがって、弁護人なしで審理・判決をしても、憲法が保障する弁護権の侵害や必要的弁護の規定違反には当たらない。
問題の所在(論点)
公職選挙法221条違反の罪が、刑事訴訟法289条1項に定める必要的弁護事件(長期3年を超える懲役・禁錮等)に該当するか。
規範
刑事訴訟法289条1項は、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件(必要的弁護事件)について、弁護人がなければ開廷してはならない旨を定めている。これに該当しない罪名については、弁護人の欠如が当然に開廷手続を違法とするものではない。
重要事実
被告人は公職選挙法221条(買収及び利害誘導罪)違反の罪に問われた。弁護人は、本件が必要的弁護事件に当たると主張し、弁護人がいない状態で審理等が行われることは違憲であるとして上告を申し立てた。
あてはめ
公職選挙法221条違反の罪(当時の法定刑)は、刑事訴訟法289条1項が規定する「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」には該当しない。したがって、同条の適用を受ける必要的弁護事件ではないといえる。必然的に、本件が必要的弁護事件であることを前提とする違憲の主張は、前提を欠くものであると解される。
結論
公職選挙法221条違反の罪は必要的弁護事件ではない。よって、弁護人が不在であっても開廷手続に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟法289条の「必要的弁護事件」の範囲を文言通りに解釈し、公職選挙法違反(当時の法定刑基準)がそれに含まれないことを明示している。実務上は、罪名ごとの法定刑を確認し、必要的弁護事件に該当するか否かを峻別する際の基礎的な判断基準となる。
事件番号: 昭和29(あ)448 / 裁判年月日: 昭和29年5月21日 / 結論: 棄却
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