判旨
刑法18条が定める罰金・科料の完納不能者に対する労役場留置の規定は、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
罰金または科料を完納することができない者を労役場に留置することを定めた刑法18条の規定が、憲法の定める基本的人権の保障等に抵触し、違憲となるか。
規範
罰金・科料を完納できない者に対し、一定の期間労役場に留置することを定める刑法18条は、身体の自由を拘束する側面を有するものの、適正な手続を経て言い渡された刑罰の代替的執行手段として合理性を有しており、憲法に違反するものではない。
重要事実
被告人が罰金刑を言い渡された際、弁護人が刑法18条(労役場留置)の規定は憲法に違反するものであると主張して上告したが、先行する大法廷判決等(昭和25年6月7日判決等)により、既に合憲性が示されていた。
あてはめ
最高裁判所は、刑法18条が違憲でないことは過去の大法廷判例(昭和25年6月7日判決)によって既に示されている通りであると判示。本件においても、特段その判断を覆すべき事情は認められず、憲法違反との主張には理由がないとした。また、その他の上告趣意についても単なる量刑不当の主張に過ぎず、適法な上告理由にはあたらないと判断した。
結論
本件上告を棄却する。刑法18条は合憲である。
実務上の射程
刑事手続における罰金刑の実効性確保手段としての労役場留置の合憲性を確認したものである。答案上は、罰金刑の執行可能性や身体拘束の適法性が問題となる場面で、先行する大法廷判決を再確認する趣旨で引用される。
事件番号: 昭和36(あ)2081 / 裁判年月日: 昭和36年12月15日 / 結論: 棄却
刑法一八条が憲法一三条、一四条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一八九〇号、同二五年六月七日大法廷判決、刑集四巻六号九五六頁)の趣旨に徴し明らかである。