判旨
刑法所定の範囲内において、罰金不完納の場合の労役場留置期間の換算割合を定めることは、被告人の基本的人権や個人の尊厳を無視したものとはいえず、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
裁判所が刑法の規定に基づき、罰金不完納時の労役場留置の換算割合を1日50円と定めたことが、被告人の基本的人権や個人の尊厳を侵害し、憲法に違反するか。
規範
刑法18条所定の範囲内において、裁判所が裁量により罰金不完納時の労役場留置期間の換算割合を定めることは、被告人の基本的人権や個人としての尊厳を無視するものでない限り、憲法に抵触しない。
重要事実
被告人に対し、金2000円の罰金刑が言い渡された。第一審判決は、この罰金を完納できない場合の労役場留置期間の割合を、1日につき金50円と定めた。これに対し、弁護側は当該換算割合の決定が被告人の基本的人権および個人としての尊厳を無視するものであり、憲法に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件における1日50円という労役場留置の換算割合は、刑法が定める労役場留置の期間および範囲内(1日以上2年以下)に収まっている。このような法定の範囲内での裁量行使は、過去の大法廷判例の趣旨に照らせば、被告人の基本的人権を不当に制限したり、個人の尊厳を蹂躙したりするものとは評価できない。したがって、憲法違反の主張には理由がない。
結論
第一審が定めた労役場留置の換算割合は合憲であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
罰金刑に伴う換算割合の決定に関する裁判所の広範な裁量を認めたものである。憲法違反(特に個人の尊厳や人権侵害)を理由とする争いに対し、刑法の枠内であれば原則として合憲であるとする実務上の準拠枠組みを示す。
事件番号: 昭和25(あ)1367 / 裁判年月日: 昭和26年12月6日 / 結論: 棄却
刑法第一八条の法廷期間の範囲内において罰金不完納の場合における労役場留置の期間を一日幾許と定めるかは、判決裁判所の裁量に属する。