所論は未決勾留日数の法定通算に関する罰金等臨時措置法第七条四項を援用するけれども、未決勾留日数の法定通算と罰金不完納の場合における労役場留置とは必ずしも同列に断ずることを得ないばかりでなく本件犯行は同法施行前の行為にかかり、従つて本件犯行に対する罰金額は金千円を超えることを得ないのであるから原判決が労役場留置期間の割合を一日金二〇円に定めたことを定めたことを以つて、所論の如く、憲法第一四条に違反するものということはできない。
罰金不完納の場合の労役場留置期間の割合を一日金二〇円と定めたことと憲法第一四条
憲法14条,刑法18条,刑法21条,罰金等臨時措置法7条4項
判旨
罰金不完納時の労役場留置の換算率は、社会の賃金水準や貨幣価値の変動に必ずしも比例させる必要はなく、換算率の決定が憲法14条の平等原則に反することはない。
問題の所在(論点)
罰金刑不完納時の労役場留置期間を決定する際の金銭的換算率が、社会の経済状況等に鑑みて著しく不均衡である場合に、憲法14条の平等原則に違反するか。
規範
労役場留置期間の換算率(刑法18条関連)の決定は、自由な社会における勤労の報酬額や貨幣価値の変動に必ずしも比例して定められるべき性質のものではない。したがって、合理的範囲内での裁量的決定であれば、憲法14条等の基本的人権や平等原則を規定した条規に反しない。
重要事実
被告人に対し、1000円の罰金刑とともに、完納できない場合の労役場留置を「1日20円」の換算率で言い渡した。これに対し弁護人は、当時の貨幣価値や他の法令(罰金等臨時措置法7条4項等)との対比から、この換算率は不当に低く、法の下の平等に反すると主張して上告した。
あてはめ
労役場留置は刑罰の一種であり、その換算率は社会の一般賃金水準と同一視されるべきものではない。本件における1日20円という換算率は、当時の状況に照らしても憲法の保障する平等原則を逸脱するほどの不当な差別とはいえない。また、未決勾留日数の法定通算に関する他法令の基準は、その性質や制定時期が本件犯行時と異なるため、これを直ちに援用して憲法違反を導くことはできない。
結論
労役場留置の換算率を1日20円と定めた原判決は憲法14条に違反せず、上告を棄却する。
実務上の射程
労役場留置の換算率設定における広範な立法・司法裁量を認める判例として位置づけられる。答案上、刑罰制度の合理性や平等原則の適用範囲を論ずる際の、裁量権の限界を示す先例として活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)6152 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法所定の範囲内において、罰金不完納の場合の労役場留置期間の換算割合を定めることは、被告人の基本的人権や個人の尊厳を無視したものとはいえず、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人に対し、金2000円の罰金刑が言い渡された。第一審判決は、この罰金を完納できない場合の労役場留置期間の割合を、1日…